2022年11月30日(水)、Contentsquareは日本のトップブランドでデジタル顧客体験(CX)の最適化に取り組む実践者たちが登壇する「CX Circle Tokyo 2022 〜オスカー級のデジタル体験を創り出す」を開催いたしました。

講演中盤では、「Contentsquareセッション」と題して、Contentsquare Japanのアカウントエグゼクティブ飯野 昌紀が「業界最小単位のユーザー行動データを用いたCX向上」をテーマに講演しました。

「データ」という切り口から、CX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)向上を実現するためのポイントや取り組みについて解説しています。

 

顧客体験にはさまざまな形がある

飯野昌紀 講演あいさつ

Contentsquareの飯野が講演をしています。

このセッションでは「顧客体験」というキーワードがテーマになりました。CX Circle Tokyo2022では参加者にコーヒーが提供されていたこともあり、飯野はコーヒーを例にCXの概念を共有しました。

仮にContentsquareがコーヒーを扱っている企業だとして、「お客さまにもっとおいしいコーヒーを飲んでもらいたい」と考えているとします 。

このような状況において、より良い顧客体験を提供するには、さまざまな施策を実行できるでしょう。例えばコーヒーの提供コーナーに高級なコーヒー豆を置いておいて「自由にドリップして飲んでください」と添えられている。これは、良い顧客体験になり得ると考えられます。

もしくはコーヒーメーカーを設置しておき、「お好きなフレーバーをお選びください」という形で提供するのも、良い顧客体験の一例です。

このように、顧客体験にはさまざまな形があり、一口にCXと言ってもとても幅が広いものです。

CX施策としては多種多様なアプローチがあり、「ブランディングを高めましょう」「広告に注力しましょう」「組織を見直すことが大切です」など、ちまたではさまざまなことが言われています。

 

CX施策成功には「データ収集」が必要不可欠

UXの種類

UXには9種類あります。

Contentsquareは、これらの中でも特に、デジタル接点におけるCXをより良くすることに注力しています。

そのため、ここでは特に注目すべき観点として「テクノロジー」「UX」「データ」を挙げたいと思います。

新たなテクノロジーの導入やUXの改善、新しい形のデータ機能の作成といったさまざまな取り組みが行われますが、これらの取り組みは施策の入り口に過ぎません。

実際には、これらの施策を実行した上で「顧客がどう思っているか」という部分まで追求しなければ、施策が成功したかどうかは分からないのです。

例えば、ある山に宝探しにやってきたAさんが、山の上の方にいるとします。実際には山の下の方に大量のお宝が眠っているのですが、Aさんはそのお宝を見つけられず、「この山にはお宝が無さそうだから、もう帰ろう」と判断してしまいました。掘る場所が違っていれば、いくらでもお宝が出てくるにもかかわらずです。

CXを向上させるためにさまざまな施策を実行しても、実際にそれが成功したか失敗したかは、データが無ければ明らかになりません。

宝探しの例では、山の下に大量の宝(CX向上施策)を用意しても、Aさん(顧客)がそれに気が付かなければ、存在しなかったのと同じことになってしまいます。

これを判断するには、データを収集し、施策によってしっかり成果を出せているかどうかを、データに基づいて検証する必要があります。

 

オートトラッキング機能でデータの自動取得を可能にする

その目的で使われるのがデジタル接点のアナリティクスです。

では、さまざまなアナリティクスが市場に存在する中で、Contentsquareは何が違うのか。それを紹介させてください。

一般的に、良いサイトには多くの人が訪問します。例えば、キャンペーンを展開すれば、顧客からのフィードバックが格段に増えたり、カスタマーサポートに問い合わせが来たりといった成果が期待できるでしょう。

しかし、カスタマーサポートの例を取ると、実際に顧客からの問い合わせが来るには「顧客体験→問い合わせ」という流れがあります。問い合わせは結果であり、何故問い合わせに至ったのかという因果関係に相当するのが顧客体験になります。

つまり、「どの顧客体験のデータを取るべきか」をしっかり理解していなければ、該当する質問が出た時点では、データが取れないということになってしまうのです。

そのため、まずは必要なデータを認識した時点で、データを取得するための設定を行って、その後で分析を行うことが重要です。

ただし、このプロセスは繰り返し起こるイベントにしか適用できないという問題があります。例えば、「2023年のブラックフライデー」のフィードバックを聞けるのは1度きりです。「次回のブラックフライデーを待とう」ということにはなりません。

このような場面では、Contentsquareのオートトラッキング機能が役立ちます。Contentsquareは、オートトラッキング機能を使ってユーザー行動に関わるデータを自動的に取得できるため、限定的なイベントに関わるデータの取りこぼしを防止できます。

Contentsquareのオートトラッキング機能

Contentsquareにはオートトラッキング機能が備わっています。

Contentsquareをウェブサイトやモバイルアプリに導入する際に、一度タグを設定しておく、もしくはSDKを実装しておけば、それ以降はマウスの動きやモバイルアプリのスクロール、HTMLの要素など、さまざまなデータについて、Contentsquareが自動的にデータ取得します。

他社のツールのように、「基本データ以外のデータは、個別に設定すれば取得できる」と言われても、「そもそもどのようなデータを取得すべきか。それが、あらかじめ分かっていない」というケースは多くあります。Contentsquareを用いることで、このような課題を解決できます。

もちろん、Contentsquareは取得したデータを分析するさまざまな機能も備えています。最近では「スピード分析」という新機能を追加するなど、次々と新しい機能開発も行っています。

 

速度が重視される世の中に対応した「スピード分析機能」をリリース

最近は、スピードが非常に重要視される世の中になってきています。携帯端末も進化していますし、自宅では光回線が使われるようになって、どんどんパフォーマンスが高速化しています。

そこでContentsquareは、スピード分析機能を2022年10月28日に国内向けに発表しました(報道発表資料)。スピードを分析するためのパフォーマンスチェックや、競合サイトと運用中のサイトのスピード比較などが行える機能です。

Contentsquareスピード分析

Contentsquareのスピード分析がリリースされました。

また、Contentsquareでは年に1回「デジタルエクスペリエンス・ベンチマークレポート」というレポートを発行しています。このレポートの中でも、業種ごとのページの平均読み込み時間について取り上げています。

一般的には、ウェブサイトの速度は高ければ高いほど望ましいとされています。とはいえ、そう簡単に速度を向上できるとは限りません。

これから構築するウェブサイトやモバイルアプリであれば、パフォーマンスが最適化されたプラットフォームを選んで構築すればよいのですが、多くの企業では、すでに自社のウェブサイトやモバイルアプリを持っているケースが多いでしょう。

そのため「速い方が良い」と言われても「分かっているけれど、そう簡単にはいかない」と感じている担当者も多いのではないでしょうか。

Contentsquareではオートトラッキング機能でさまざまなデータを取得できるとお話ししましたが、実は「ユーザーがどのように訪問してきて、どんなレスポンスを体験したのか」というデータも取得できます。

 

読み込み速度が高いほどコンバージョン率は向上する

FIDアップによる収益向上

FIDが100ms以上だと、年間の収益に大きな効果が現れます。

スピード分析を使用した分析レポートですが、「FID(First Input Delay:初回入力遅延)が100ms以下のユーザー体験をした人のコンバージョン率」と「FIDが100msを超えたユーザー体験をした人のコンバージョン率」を比較しています。

結果として、速度が高い体験と低い体験では、明確な差異がありました。

これらのコンバージョン率は、3カ月単位で見ても1日も逆転することはありません。要するに「速度が高い方が、常にコンバージョン率が高い」という結果が出たのです。

もちろん、上記の例でいえば、ウェブサイトの全てのコンテンツでFIDを100ms以下にすることは現実的ではありません。

しかし、例えばランディングページを修正することでFIDが100ms以下のもののうち30%を救済できたとすると、上記の例では年間1260万円も収益が上がる可能性があります。

Contentsquareで行えるのはあくまでも分析なので、必ずしも特定の部分を改善すれば顧客体験が向上すると決まったわけではありません。

しかし、このようにデータを可視化することで「速度改善に取り組めば収益が改善する可能性があるのなら、チャレンジしてみよう」という積極的な意思決定につながります。

 

自社の現在地を知り、さらなるCX向上のための施策展開を

飯野昌紀 講演のまとめ

飯野昌紀の講演をまとめています。

日本の企業でも、さまざまなデータを可視化したり、レポーティングしたりしています。データをリアルタイムで可視化して、売上やコンバージョン率を明らかにできるのは素晴らしいことです。

ただ、その結果が常に100点であればよいのですが、実際には売上が下がる月や、離脱率が高まる月というのも出てきます。

通常は、収集したデータを集計、可視化し、統計ロジックを用いてインサイトを抽出する必要があります。この方法では、データ分析は一部のデータサイエンティストにしかできません。

しかし、Contentsquareのような行動分析ツールがあれば、専門知識がなくてもユーザーの行動を知ることができます。

分析の結果、ユーザーが満足しているのであれば良いのですが、そうでなければ具体的な対策を行ってCXを向上させていく必要があります。

現在取り組んでいるCX向上施策が順調にいっているか否かを見極めるために、行動データをいままで以上に活用していくことが求められるのです。

 

CX向上のための施策をする上で理解しておきたい「デジタル体験分析」

ユーザーの行動データの取得・活用のために欠かせないのが「デジタル体験分析」です。

講演中で告知したeBook「デジタル体験分析について知っておくべき全てのこと」を公開しています。ぜひ、下記のバナーからeBookをご覧ください。

デジタル体験分析について知っておくべき全てのこと

CX Circle Tokyo 2022の講演録画はこちらからご覧いただけます。

また、各セッションの要点だけをまとめて知りたいという方は、各セッションのイベントレポートをご覧ください。

【CX Circle Tokyo 2022 イベントレポート】(近日公開予定)

  • デジタル顧客体験のGala(祝祭)へようこそ!| Contentsquare
  • デジタル時代の顧客体験を“爆速“で作る――コアラ流マーケティングDXの舞台裏|コアラスリープジャパン
  • よくある失敗から学ぶ「組織的にUXに取り組むポイント」|電通デジタル
  • UXの創り手が語る現場のリアル――戦略・事例体制・人材|パネルディスカッション
  • 三菱地所が実践した住まいのプラットフォーム構築の軌跡|三菱地所