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キューサイが挑む顧客体験の刷新――チャネル分断から一気通貫へ、全員の目線をお客さま起点でそろえる

キューサイが挑む顧客体験の刷新――チャネル分断から一気通貫へ、全員の目線をお客さま起点でそろえる — Cover Image

青汁で知られるキューサイは、ブランド刷新や新サービスを柱にした新戦略を2022年9月に発表し、若年層開拓やEC強化を進めています。その中で同社は、デジタル接点における顧客体験を分析し、その体験を改善することで収益を高めるツールとしてContentsquareを導入しました。キューサイ代表取締役社長の佐伯 澄氏に、Contentsquareで日本のカントリーマネージャーを務める伊奈 憲一郎がインタビュー。キューサイが挑む「新しい顧客体験」についてお話を伺いました。

佐伯 澄 氏・キューサイ株式会社 代表取締役社長

1996年に青山学院大学 経営学部を卒業後、東京三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)や住友商事に勤務。その後AmazonにてAmazon Freshの事業立ち上げを主導。また株式会社MOA(現XPRICE株式会社)代表取締役や株式会社さとふる取締役などを歴任した。2022年1月よりキューサイ株式会社の取締役を務め、同3月に代表取締役社長に就任。

1. 歳を重ねることを前向きに感じられる世界の実現を目指す

――ブランド刷新や新サービスを柱にした新戦略を2022年9月に発表しました。背景や具体的な取り組みについて教えてください。

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これまでキューサイは、健康食品や化粧品を主にテレビ通販で販売してきました。これからは「マルチプロダクト・マルチチャネル」に取り組んでいきます。

今回の事業改革にはいろいろな視点がありますが、柱をいくつか設定しています。一つはコーポレート・ブランディングの刷新で、その基軸を「ウェルエイジング」としました。より具体的に言えば、歳を重ねることを前向きに感じられる世界の実現を目指しています。

ウェルエイジングを実現するには、身体と心の健康がカギになります。「人生初を、いつまでも。」をコンセプトに、お客さまの身体と心の健康をキューサイが支援していく。これをブランディングの柱として位置づけています。

これまで当社は単品通販を中心に商品を展開してきました。お客さまに特定の商品を気に入っていただき、購入してもらうことが多かったのですが、今後はそれにとどまらず、「ウェルエイジングを叶えるブランド」としてキューサイのさまざまな商品、そして新たに提案するサービスを手に取ってほしいと考えています。そのためにも、健康に関する情報を包括的に提供するプラットフォームを構築します。

また、「ケール青汁」のパッケージ刷新や若年層開拓などを含めた、リブランディングにも取り組んでいます。

2. ウェルエイジングをOne to Oneでサポート

――そのプラットフォームでは、どんな顧客体験を提供していくのでしょうか?

単に商品を購入できるECサイトではなく、「情報を得られるプラットフォーム」を提供していくことが重要だと考えています。お客さまがエイジングにおける自分の“現在地”を把握でき、「より良く歳を重ねるために、自分は何をすればよいのか」を具体的に知ることができるプラットフォームです。

――お客さまに寄り添うプラットフォームを提供するということですね。

はい。元々、キューサイは「お客さまに寄り添う」ことを徹底して成長してきた会社です。コールセンターでも、ただ商品を提供するだけではなく、お客さまそれぞれの商品の使い方までサポートし、お客さま一人ひとりとの接点を大切にしてきました。その流れをくみ、「One to One」でウェルエイジングへのサポートを実現できるプラットフォームを構築したいと考えています。

ECサイトや新たに構築するプラットフォームなどの接点でも、ウェルエイジングを起点にしたUX・UIを提供します。

「テレビでインフォマーシャルを流して、コールセンターで注文を受ける」という販売チャネルだけではなく、マルチチャネルとしてデジタルの世界ではブランドサイトやECサイト、実世界では健康意識の高い生活者との接点になるリアル店舗での流通などにおいて、横断的に同じ顧客体験を提供することで、お客さまの満足度の向上を図っていきます。

3. お客さまに寄り添った改善には可視化が不可欠

――新しい層のお客さまを取り込んでいくにあたり、どうやってオンラインの顧客接点、顧客体験を作っていくのでしょうか?

私はECサイトを「売り場」の一つだと考えています。その前提に立った上で、新しく流入してくるお客さまが求めている商品を的確に提供するためのUX・UIがまだ不十分なので、リニューアルに着手しました。UX・UIがお客さまの期待に応えられていないと、ECサイトにランディングした直後に離脱してしまったり、回遊されなかったりということが起こります。

UXを改善するときは、お客さま目線に立つことが重要です。提供者の視点で「こういう機能があるから満足するだろう」と決めてかかるのではなく、「お客さまのためにどうやってUIを変えていくか?」と考えています。

お客さまに寄り添った改善を行うには、指標を可視化することも大切です。お客さまが何に・なぜ満足できていないのかを、当社の関係者全員が同じ目線で見て、同じ認識を持てるようにならなければ、当社が目指す顧客体験を提供することはできません。

Contentsquareを活用することで、関係者の誰もが同じ目線で現状を認識できるようになります。例えば、「この商品が手に取られていない」というのが誰でもわかるように可視化されるので、同じ方向性を向いてUX・UIの改善に取り組むことができます。

4. どのチャネルでも同じ顧客体験を提供できる体制へ

――Contentsquareが全世界のWebサイトを対象に調査したデジタル顧客体験ベンチマークレポートによると、ECサイトのコンバージョン率(購買率)は平均2.5%。100人が売り場に来訪しても、購買に至るのは3人にも満たないというのが実情です。

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「UXやUIの改善が重要だ」と語られてはいますが、結局、この購買率の低さに全てが集約されていると感じています。

当社としては、お客さまがウェルエイジングを体現するためにキューサイのWebサイトにやって来て、そこで商品を買ってくれるようになってほしいと思っています。そのためにはブランドマネジャー、マーケティングチーム、EC運営チーム、実店舗のチャネル開拓をしている法人営業チーム、さらには私自身も含む経営メンバーまで、全員が顧客起点でものごとを考え、全員がデータに基づいて同じ視点で顧客体験を把握し、改善に取り組む必要があります。

これを実践するために、Contentsquareの導入を決めました。私自身、これまで所属した企業でさまざまなデータ可視化ツールを利用してきました。その経験から、成果につながるかどうかは2つのポイントがあると考えています。それは、「シンプルに可視化できること」と、「誰もが容易に使えること」です。この2点を満たしていたのが、Contentsquareに着目した理由でもあります。

売り場がデジタル世界にあるか、実世界にあるか、Webサイトなのか、コールセンターなのかという「チャネル」で分けていては、当社が理想とする顧客体験は作れません。

お客さまにウェルエイジングを体験していただくWebサイトのあるべき姿を追及していくと、売り場作りや最適なタイミングでの情報提供をする必要があります。この課題に関しては、CRMも活用して、お客さまに対して最適な情報を提供することで解決を図っています。

ほかにも、新聞やテレビから流入してくださる方にはコールセンターを窓口とするほか、メルマガやSNSもお客さまの声を拾い上げる切り口として活用しています。マルチチャネルを実現してお客さまの声を可視化しつつ、どのチャネルでも同じ顧客体験を提供できる体制作りを進めることが必要だと考えています。

5. 誰でも一気通貫の改善サイクルを回せる

――オンライン体験の改善、PDCAを回していくための体制やプロセスはどのようになっているのでしょうか?

正直なところ、現状においては確立した体制やプロセスを構築できていません。担当者の勘に頼っていて、一気通貫で見ることができていないのが実情です。お客さまがどこで、なぜ離脱しているのかを可視化できていないため、具体的な打ち手が見えていません。

しかし、Contentsquareのような分析プラットフォームを活用することで、データに基づいて、誰でも一気通貫の改善サイクルを回せる業務体制を作れると思っています。今後は、「Webデザイナー」「データアナリスト」のような職種の切り分けはなくなり、そうした職能も「ブランドマネジャー」の役割の元にシンプルにまとめられるようになるのではないでしょうか。専門性が必要だから専任者が必要だというこれまでの思い込みを、Contentsquareのようなツールの力も借りて脱却できれば、実現可能な世界観だと思っています。

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Contentsquareのデジタル顧客体験アナリティクスは、Webサイトやモバイルアプリなどのデジタル接点において「お客さまがどんな行動を、なぜとっているのか」を可視化する(※このスクリーンショットはContentsquareのデモ用サイトの分析例であり、キューサイのウェブサイトではありません)

6. デジタル接点の顧客体験はもはや使命

――最後にあらためて、キューサイがお客さまの期待にどう応えていくかお聞かせください。

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写真向かって左=キューサイ 佐伯 澄 社長、同右=Contentsquare日本カントリーマネージャー伊奈 憲一郎

近年では、お客さまの「満足の仕方」が変わってきていると感じています。これに伴って、企業が顧客の変化にどのように反応するかも変わってきています。当社はメーカーという立ち位置にありますが、単に商品を提供して収益を上げているわけではありません。お客さまの購買の判断を助けつつ、顧客体験も支援する。これを両立することではじめて、収益をいただくことができると考えます。

お客さまを支援するためには、マルチチャネルを実現することが重要です。オフラインで当社のブランドを知り、オンラインサイトやECに足を運んでくださる方もいれば、若年層だとECの中での買い周りで、既に自分の中で答えを決めていたとしても、その判断が正しいことを確認するために別の接点――たとえばブランドサイトや、SNSなどでの口コミ、あるいはオフラインの店頭などに来るという人もいます。

このようなニーズにOne to Oneで応えていくことが、最終的に顧客満足につながるのであって、テレビでインフォマーシャルを展開したり、商品を販売したりするだけで、お客さまにご満足いただけるわけではありません。デジタル世界での体験と満足も含めて提供することは、当社のような企業にとって、もはや使命だと考えています。

当社がお客さまのウェルエイジングを支援するには、キューサイとしての新たなブランドを認知してもらう「お客さまとの接点」を作り、ウェルエイジングという文脈でのコミュニケーションの起点をどれだけお客さまとの間に生み出せるかが重要だと感じています。

ウェルエイジングという考え方は十人十色で、若年層ならではの思いもあれば、日頃から健康意識が高い人特有の考え方もあります。それらの思いに一つひとつ、One to Oneで応えられるようにしていくことを、キューサイは実践していきます。

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