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「デジタル体験=顧客提供価値」だからこそ、ゴルフダイジェスト・オンラインはユーザー視点の獲得手法をDXした

Customer Story
「デジタル体験=顧客提供価値」だからこそ、ゴルフダイジェスト・オンラインはユーザー視点の獲得手法をDXした — Cover Image

株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインでは、デジタル顧客体験分析プラットフォーム「Contentsquare(コンテンツスクエア)」を2022年から利用しています。なぜContentsquareを選んだのか。「革命的だ」とする活用方法とは? ーー選定・導入から社内での活用・浸透まで担うキーパーソンに詳しく聞きました。

お話をうかがった方

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

UXD本部

本部長 加藤 裕稔 氏(写真中央)

UX推進部 UX企画チーム マネージャー 渡邉 雄一 氏(写真向かって左)

UX推進部 UX企画チーム 小出 安希奈 氏(写真向かって右。いっしょに写っているのはGDOスコア管理・分析アプリのキャラクター「スコアラ」)

(※所属・肩書は2024年3月時点のもの、Contentsquareパートナーであるギャプライズと共同でインタビューを実施)

事業紹介

ーーゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)の事業と、みなさまが所属するUXD本部について教えてください。

当社ゴルフダイジェスト・オンライン(Golf Digest Online、以下GDO)は、ゴルフ用品のオンラインショップやゴルフ場の予約など、ゴルフに関連するインターネットサービスの提供をメイン事業として展開しています(2024年2月現在)。

また、メディア運営、レッスン、テクノロジーを導入した練習場、スコア管理・分析アプリといった事業やポータルサイトも手掛けています(参考リンク:GDOグループの事業紹介)。

**その中でわたしたちUXD本部は、「User eXperience Design」という名が示す通り、ユーザー体験(UX)を基軸にして顧客基盤の拡大を担う組織です。**新規の会員獲得から既存会員のロイヤルティ向上まで、事業部門がさまざまなマーケティング施策を実行するための全社横断的な機能を提供しています。

具体的には、CRM(顧客関係管理)活動、広告・アプリ運用、データ分析、カスタマーサービス、そしてUXの分析調査・改善を、それぞれの専任チームが担う体制をとっています。

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「デジタル体験=顧客提供価値」の事業形態ゆえ、ユーザー視点の獲得は至上命題

ーー貴社の事業ではウェブサイトをはじめとするデジタル上の顧客接点をどのように位置付けていますか?

当社の基幹事業は、ゴルファーの皆さまにオンラインでさまざまなサービスを提供することです。

実際に“モノ”を作るメーカーとは異なり、売り物は“サービス”しかありません。また、実店舗を展開する業態とは異なり、サービス提供の場はウェブサイト/アプリというデジタル接点です。

つまり、「当社がお客さまに価値として提供し、その見返りとして収益を得る手段」は、すべてデジタル上の顧客体験だと言えます。

だからこそ当社は、常にユーザーファーストの視点でデジタル体験の改善すべき点を見つけ出し、実際に改善の活動を行うというサイクルを回し続けています。

ーーそのなかで、どのような課題をお持ちでしたか。

UXD本部のUX企画チームでは、改善点を見つけるためにさまざまなユーザーテストを実施したり、定性的な評価を把握するためにNPS(ネットプロモータースコア)を用いた顧客満足度調査などを行っています。

ただし、こうした従来のUX調査手法では所要時間や人的リソースが膨大になってしまい、当社が提供しているさまざまなサービスのうち、限られた一部にしか実施できていませんでした。

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一般的なユーザー行動観察調査(出典:ゴルフダイジェスト・オンライン)

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、被験者を対面で集めるユーザーテストを実施できなくなってしまいました。オンラインのビデオ会議で代替を試みたのですが、なかなかうまくいきませんでした。

それに加えて、サービスを外部にリリースする前に実施するテストについても課題がありました。

事業部門それぞれのプロジェクト単位でテスト設計をしており、「作り手がテストする」という形になることも多く、作り手が想定しないようなエラーはなかなか見つけ出せず、市場にリリースしてから発見されることがありました。

運用中のサービスの改善と、リリース前のサービスのテスト。それぞれの課題を一挙に解決する手段としてオンラインの顧客行動を可視化するツールを検討する中で出会ったのが、Contentsquareのデジタル体験アナリティクスでした。

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「常にユーザーファーストの視点でデジタル体験の改善すべき点を見つけ出し、実際に改善の活動を行うというサイクルを回し続けています」と語るゴルフダイジェスト・オンライン UXD本部 本部長 加藤 裕稔 氏

解決策

ーーオンライン顧客行動を可視化するソリューションが市場に複数ある中から、Contentsquareを選んだ理由を教えてください。

機能面では、Contentsquareの特徴的な機能の一つである「セッションリプレイ※」が大きな材料でした。

以前に導入を検討した可視化ツールは、ユーザーの操作画面を「とにかく全部そのまま録画して、確認できるようにする」といったものでした。まず個人情報保護の観点から導入するのが難しく、それを乗り越えられたとしても、途方もない量の録画はとても全部は確認できません。そもそもユーザーテストに時間と工数がかかるという課題を解決したいのに、本末転倒です。

そうかといって、時間を限って、ランダムに取り上げたセッションを確認するのでは、本当に改善すべきユーザー体験を見つけられるかどうかが運任せになってしまいます。それでは運用として続きませんし、費用対効果も見込めません。

それに対しContentsquareは、いきなり再現動画を見るわけではなく、各種の分析から問題がありそうなところ、事業にとってインパクトが大きいところを絞り込んだ上で、「なぜ、その問題が起きているのか?」を確認するために実際のユーザー行動をリプレイで視聴するというアプローチをとれるのが大きなポイントでした。

しかも、その一連の流れがContentsquareなら簡単にできてしまう。当社では、こうしたツールを導入する際には、わたしたちのような全社横断部門だけで閉じずに、各サービスを受け持つ事業部門にも展開してその担当者にまで普及・浸透させていくことを目指します。

特定の部門でしか使いこなせない、エンジニアしか触れないといったハードルが高いツールでは、それが難しい。Contentsquareはその観点でも当社にフィットしました。

これは、**「ユーザー視点を獲得する手法のデジタルトランスフォーメーション」**だと位置づけています。

※セッションリプレイは、ユーザーが実際にウェブサイトやアプリを操作している際の行動を詳細かつ膨大なデータとして取得し、そのときにユーザーが触れていた画面の構造データとあわせることで、ユーザーのデジタル体験を動画のように再生する機能。

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「分析ツールは、わたしたちがまず活用して改善の示唆を出し、事業部門や開発部門と連携して実際の改善を行います。ですが当社では、わたしたちのような専門部署だけが使うのではなく、事業部門の担当者にまで普及・浸透させていくことを目指しており、それが可能なツールであることが選定基準の一つになります」と述べるゴルフダイジェスト・オンライン UX企画チーム マネージャー 渡邉 雄一 氏

ーー導入後、実際にはどのようにContentsquareを利用していますか。

大きく3つあり、①既存のサービスの改善と、②予約サイトの開発フェーズでのテスト③アプリの改善です。

①****既存サービスの改善では、隔週でわたしたちUXD本部のUX企画チームとサービス側のチームが集まり、Contentsquareの分析の内容と、そこから得た示唆をもとにどんな改善ができるかを会話しています。

その中でも、すぐにWeb接客ツールを使ってお客さまへの対応ができることは、ABテストをしながら実際の施策を打っていきます。システム側で対応が必要な場合は、開発部門に提案するという動きをとっています。

②****開発中のサービスのテストでは、開発環境にContentsquareを導入してユーザー行動データを取得できるようにしておき、そのテスト用サイトに被験者にアクセスしてもらい、実際に使ってもらいます。シナリオに基づいて操作してもらうほか、ランダムに操作してもらういわゆるモンキーテストも行います。

これは、UAT(User Acceptance Test)の革命です。前述した従来の手法とは異なり、費用も労力も時間もケタ違いにカットできます。社内100人にテストサイトのURLを渡して触ってもらえば、数人の被験者を外部から集める従来の手法よりテストカバレッジが大幅に向上し、それでいて外部から被験者を雇う費用はかかりません。

③****アプリの改善では、セッションリプレイを重用しています。ウェブサイトだけでなく、アプリのセッションリプレイができるツールは市場を見渡してもなかなか他に無く、Contentsquareならではのメリットを感じることのひとつです。

アプリには、Google Analyticsのようなアクセス解析ツールではユーザーの動きを追い切れない、ABテストをやりにくいといった特性があります。それがセッションリプレイによって、問題の箇所と原因を把握したうえで的を外さずに改善ができるようになりました。

参考記事:GDOスコアアプリの改善についてGDO執行役員 CMO/CIOの志賀智之氏と、Contentsquare活用の伴走支援を提供するギャプライズのカスタマーサクセスチーム・マネージャー鎌田洋介氏が詳細を明かす

分析事例:顧客体験分析から得たインサイトの例

ーー多くのユーザーがアクションエリアまで閲覧しているにもかかわらず申し込み完了しない理由とは?

GDOが提供しているゴルフ場予約サービスのひとつに「1人予約」があります。同伴者のいない単身のゴルファー同士がグループを作ってラウンドができるというサービスです。

申し込みフォームの離脱軽減とCV向上を目指し「ゾーニング分析」をおこなったところ、ある程度のユーザーはページ下部まで閲覧していることがわかりました。

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閲覧しているにもかかわらず、申し込み完了に至らない原因を探るために、クリック率の分析を実施したところ2つの課題が判明しました。

1つ目は、「注意事項を了承する」のチェックボックスを押した割合よりも、アクションボタンエリアのクリック率が大幅に低いことです。言い換えれば、「注意事項を了承する」にチェックを入れた後は「予約する」を押すだけで予約が完了するという状況にも関わらず、そこで離脱しているユーザーが多く存在しているということです。離脱率は新規ユーザーでは40%、既存ユーザーでは53.8%でした。そこで、注意事項の内容で気になることがあるのではないか、と考えました。

2つ目は、既存ユーザーがボタンではないエリアをクリックしていることです。1人予約は同伴者のいない単身のゴルファー同士がグループを作ってラウンドができるというサービスですので、人数が集まらない場合は予約不成立になるという注意事項が表示されます。この注意事項に関するエリアは7.69%もクリックされていました。つまり、ユーザーは予約が不成立となる条件について、より詳しい説明を求めているということです。

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そこで、予約行為前に機能や注意事項を理解してもらうべきであるという仮説を立てました。

Contentsquareのセッションリプレイ機能で実際のユーザー行動を見てみたところ、「注意事項を了承する」のチェックボックスにチェックを入れた後で、ページ内にある注意書きを読み直したり、予約工程の前のステップに戻ろうとしたりしていることが視認できた。

ーーお客さまは、サービス提供者が想像しないところで二の足を踏んでいた

仮説に基づき、トップの見出し画像に2つの変更を加えました。画像にはキャッチコピーと説明の文言を追加し、説明へのリンクは視覚的にわかりやすくすることを目的として画像の外側に設置しました。その結果、コンバージョン率が未実施に比べ2.6ポイントも向上したのです。

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説明のリンクは視認性を向上させたことで、CTRが大幅に向上しました。

さらにつぶさに分析したところ、改善後の施策を経由したセグメントは、経由しなかったセグメントと比較してCVRが0.71ポイント高いことも判明しました。

仮説に基づいた、改善施策がきちんと結果につながったことがわかる良い例だと思います。GDOが提供している、その他の様々なサービスも同様に、課題の発見から施策実行、結果の分析までContentsquareを利用して行っています。

「UXを見る」をカルチャーにする

ーー最後に今後の展望を教えてください

まず、Contentsquareの利用範囲を当社のサービス群にもっと広げていきたいと考えています。ひとつは、導入済みのゴルフ場予約サービスから、さらに他の予約アプリへの展開です。そして、ゴルフ用品のECサイトにも導入し、オンラインショップ運営や商品の管理、注文処理の効率化を狙います。

そのようにサービスのフロントエンド側での利用を広げるとともに、もう一つの軸として、バックエンド側すなわちシステム部門での活用を始めたいと考えています。

具体的には、Contentsquareが提供する「Find &Fix※」によって、サイトのパフォーマンスに起因するユーザー体験の悪化やそれが生む機会損失をシステム部門からも最小化できるような仕組みを作っていきます。

こうした取り組みを通じて、「UXを見る」ことを当社のカルチャーにしたいと思っています。事業部門でキャンペーンを担うマーケティング・チームも、UIを手掛けるデザイナーも、プロダクトを作る開発チームも、収益を担う営業も。

さまざまな役割のメンバーがContentsquareを使って、自分のお客さまがどんな体験をしているか、自分自身で見る。そして、それぞれの立場で改善をし続ける。それが“標準”になるように、定着させていきたいと考えています。

ーーありがとうございました。

※Find & Fixは、エラーや表示スピードといったウェブサイトのパフォーマンスをリアルタイムで監視し、パフォーマンス低下によってユーザー体験が損なわれていることを検知・アラートするとともに、それによる機会損失の大きさを分析・定量化する機能。

2024年の戦略を強化するための過去3年間の主要データとインサイトのスナップショットをご覧いただけます。

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