強力な製品戦略を策定するには、その方向性を把握する必要があります。製品ビジョンがその指針となります。
多くのプロダクトマネージャーは、適切に作り上げられた製品ビジョンを重視しますが、実際にそれを作成するとなると、戸惑う人は少なくありません。このガイドでは、ユーザーの問題を真に解決し、顧客満足度を高める道筋を製品ビジョンによって見つける方法を解説します。
製品ビジョンとは?
製品ビジョンは、製品チームと組織が将来、製品を通じて解決することを望んでいる顧客の課題を定義します。
製品ビジョンは、製品を作る理由と、その製品が組織にとって有益な形で顧客のニーズに応えられる方法について、インサイトを提供します。
説得力のある製品ビジョンは、チームの製品に関する決定を導くガイドラインを提供します。全員が製品ビジョンを理解したとき、それがステークホルダー間の意思決定を調整する指針となります。
製品ビジョンが重要な理由
新しい製品を作る際、顧客のために解決しようとしている問題に集中し続けるためには、明確な製品ビジョンが必要です。
また、既存製品の取り組みにおいても、意味のある製品ビジョンが重要です 。実際、その場合の方が、より重要かもしれません。既存の製品がある場合、既存のロードマップに加え、顧客の要望やステークホルダーからのフィードバックが蓄積されたバックログが存在します。そして、どのようなフィードバックを製品に取り入れるかを決める際に、製品ビジョンが羅針盤となります。
優れた製品ビジョンとは?
優れた製品ビジョンは意思決定を導き、チームが影響力のある製品を提供するよう促します。そのためには、製品ビジョンが以下の特性を備えている必要があります。
明確さ:製品ビジョンは、チームやステークホルダーにとって理解しやすいものでなければなりません。
刺激をもたらす:製品チームが日々の作業と製品ビジョンの関係性を認識し、そのつながりを強く保つよう促します。
簡潔さ:製品ビジョンは、人々の注目を集めやすいように、短く要点を押さえたものにする必要があります。
達成可能:製品ビジョンは、チームが信じ、達成できると確信できる将来の姿を表すものでなければなりません。
顧客中心:製品ビジョンでは、製品が満たす顧客のニーズを明確に定義する必要があります。
多くのプロダクトマネージャーは、製品ビジョンを策定する際にステートメントの空欄を埋めるアプローチを採用しています。上記の特性を満たす最も有名なテンプレートのひとつは、ベンチャーパートナーであり、著者でもあるGeoffrey Moore氏が考案した以下のフォーマットです。
[顧客ニーズ]が必要な[ターゲット顧客]向けの[製品]は、[独自のメリットとセールスポイント]を提供する[製品のカテゴリーまたは説明]です。 [競合製品や既存の手法]とは異なり、当社の製品では[主な差別化要因]が可能です。 |
例えば、Contentsquareのビジョンステートメントは以下のようになります。
Contentsquareは、顧客に対する理解を迅速に深める必要がある企業に実用的なインサイトを提供するエクスペリエンス・インテリジェンス・プラットフォームです。企業が決定の優先順位を容易に決定し、すべての顧客に適切な体験を継続的に提供することを可能にします。 企業が顧客体験を理解するためにこれまで使用していた複雑なツールの寄せ集めとは異なり、Contentsquareは使いやすいオールインワン・プラットフォームであるため、チームはより迅速かつスマートに作業できます。 |
しかし、単にステートメントテンプレートを埋めるだけでは、製品ビジョンが本当の意味で完成するとは限りません。より良いアプローチは、製品ビジョンを中心にストーリーを構築することです。以下では、製品担当者がストーリーを活用して優れた製品ビジョンを作成した例を紹介します。
Sprout Socialのプロダクト担当副社長であるBen Newell氏は、製品ビジョンを策定する際に、単なるステートメント以上のものを求めます。彼は、チームが最も刺激を受けるのは、製品と「典型的なユーザーとのインタラクションのストーリーを盛り込んだプロトタイプ」を含むビジョンであることに気づいたためです。
ProductMindでプロダクト部門の責任者を務めるEzinne Udezue氏によると、彼女のプロダクト・リーダーシップ・チームは、ストーリーを構築し、プロダクトビジョンを説明するために、戦略的意図を示すドキュメントを使用しています。このドキュメントは、「プロダクト組織として、自分たちが何をしているのか、なぜそうしているのかを明確に示し」、以下の質問への答えを含んでいます。
自分たちの優先事項は何か
これらがいつまで自分たちの優先事項であり続けると思うか
どのような製品指標を向上させようとしていのか。また、その理由は何か
製品ビジョンを構築する際に考慮すべき5つのポイント
製品ビジョンは短く簡潔なステートメントであることが多いため、一見すると簡単に構築できるように見えるかもしれませんが、騙されてはいけません。人々を導き、刺激を与える製品ビジョンを作成するには、多くの要素を考慮する必要があります。
以下では、製品ビジョンを構築する際に自問すべき重要な質問を紹介します。
1. 製品ビジョンの所有者は誰か?
製品ビジョンの作成はプロダクトマネージャーの業務のひとつですが、それを単独で行うべきではありません。
製品ビジョンによってチームを導き、刺激を与えたい場合は、チームが最初から製品ビジョンの構築に関与するようにする必要があります。ただし、最終的な責任はプロダクトマネージャーにあります。
2. 製品ビジョンが、より広範な戦略とどのように結び付いているか?
製品ビジョンは、組織のより広範な目標と製品戦略を結ぶ接点です。
製品ビジョンは、製品が組織の戦略にどのように貢献するかを説明します。組織全体における製品の役割を理解したら、製品ビジョンを実現するために必要なステップを明確にする製品戦略を策定します。
簡単に言えば、製品ビジョンは製品があるべき場所を説明し、製品戦略はそこにたどり着く方法を示します。
3. どうすれば真に顧客中心の製品ビジョンを構築できるか?
顧客を常に中心に据えながら製品ビジョンを作成するため、営業チームとカスタマーサクセスチームに「お客さまは当社の製品を選択する際に何を考慮するのか」と尋ねてみましょう。このようなインサイトを活用し、顧客のニーズと要望を製品ビジョンにより適切に反映させる方法を検討します。
Ben Newell氏は、新しい業界でプロダクト責任者に就任した際に、顧客中心主義を理解することの重要性を学びました。彼は、製品ビジョンを構築する前に、会社と顧客についてもっと深く知りたいと考えました。「時間をかけて全員の意見に耳を傾け、お客さまが直面している課題を心から理解したいと考えました」(Newell氏)
社内の同僚に、顧客とやり取りをした経験について尋ねることで、製品に対してより幅広く、繊細な理解が得られます。さらに、それを全体的なビジョンに反映させることで、全員から支持されるビジョンの作成が可能になります。
プロのヒント:顧客対応チームからの意見を補うために、顧客の声を直接聞いてみましょう。ユーザーインタビューとアンケートを通じて、フィルターがかかっていない視点を得ることができます。Contentsquareによって、インタビューとアンケートの両方を実施できます。詳細は後述します。 |
4. 製品のビジョンをどのように伝えるか?
製品ビジョンは、誰にも知られなければ役に立ちません。ビジョンを定めたら、組織内の全員に伝える必要があります。
製品ビジョンの伝達は、その策定の初期段階から始めることをお勧めします。繰り返しますが、製品ビジョンは単独で構築されるべきではありません。組織内の主要なチームや人物を巻き込む必要があります。単独でビジョンを構築すると、ステークホルダーはその内容に驚くことが少なくなく、彼らの賛同を得にくくなったり、ビジョンが無視されたり、強く反対される可能性があるためです。
MyFitnessPalの共同創設者であり、同社で製品部門の責任者を務めた経験を持つAlbert Lee氏は、初めて製品ビジョンの説明を求められた際、多くの人がするように、Googleで事例を検索しました。しかし、見つかった事例はあまりにも抽象的で、まったく参考になりませんでした。Lee氏はその後、製品プロトタイプを作成して製品ビジョンを伝えようとしましたが、プロトタイプはあまりにも具体的で、チームにイノベーションの余地を残しませんでした。
抽象的すぎることと具体的すぎることの間の妥協点を見つけるために、Lee氏は最終的にストーリーボードを使用して、チーム全員に次のことを理解してもらうことにしました。「これが、私たちが考えるお客さまです。これが、お客様が抱えていると思われる基本的な課題です。これが、お客様の成功を支援するために私たちが作り出そうとしているユーザー体験のタイプです」
5. どうすれば製品のビジョンを常に新鮮に保つことができるか?
製品ビジョンを構築する際には、製品が将来、あるべき姿について仮説を立てます。そして、それは仮説であるため、受け取ったフィードバックや反応に基づいて修正や改善サイクルを実施しなければならないこともあります。
また、主要なステークホルダーとともに定期的にビジョンを再検討し、それが会社と製品の現状と一致しているかどうかを確認する必要があります。
製品ビジョンと、製品チームがそのビジョンをどのように実現しているかについて、組織内で定期的に最新情報を伝える方法を見つけましょう。進捗状況の共有を習慣化することで、組織の人たちにビジョンを思い出させ、ビジョンの改善に役立つフィードバックを集めやすくなります。
Ben Newell氏は、製品チームが全社に向けて取り組みの内容を共有するため、定期的にミーティングを開催しています。その際、チームはABテストの結果と追跡指標を共有します。Newell氏のチームは、こうした更新情報の提供を通じて製品ビジョンの実現に向けた進捗状況を説明し、修正が必要な点について意見を求める機会が得られます。
🔥 プロのヒント:製品ビジョンを適切なものに保つ方法のひとつに、短期的なことに集中しすぎて、より先の目標を見失わないようにすることがあります。
Netflixの元製品担当副社長とCheggの最高製品責任者を歴任した経験を持つGibson Biddle氏は、製品チームが次のステップを検討すると同時に長期的な視点で考えられるよう、GLEeモデル(Get Big, Lead, Expand:成長してリードし、拡大する)を作成しました。
Biddle氏は、数年にわたる製品ビジョンを実現する最善の方法は、それを一連のステップに分割することだと気づきました。
まず、顧客が自社製品を購入して解決したいと考えている問題を特定します。競争優位性を築くことで、その製品の市場で「成長する(Get Big)」ことができます。例えば、NetflixはDVDの通信販売サービスを提供することで、市場シェアを伸ばし始めました。
次に、製品を次のトレンドへと導いていく必要があります。これは、解決すべき新たな課題かもしれませんし、すでに取り組んでいる課題を解決するより優れた方法かもしれません。その製品の分野で 「リード(Lead)」するための施策を講じましょう。Netflixの場合、それはストリーミングでした。
最後の「拡大(Expand)」ステップでは、最初の2つのステップで構築した基盤を活用して、ビジネスと製品をさらに発展させます。Netflixの場合、世界規模の配信へとサービスを拡大しました。
長期的な視点で考えるのに役立つ製品ビジョンを構築するには、自分自身 (および製品チーム) に以下の質問をしましょう。
自社と自社製品が最初の3~5年間で市場シェアを獲得(「成長」)できるようにする最初のソリューションは何か。
3〜5 年後に、自社製品が乗る次の波は何か。何を「リード」するのか。
製品がリーダーの地位を獲得したら、どのように「拡大」させていくべきか。ブランド、ネットワーク効果、規模の経済、製品が持つ独自の技術を考慮すると、次の活動の波は何か。
Contentsquareを活用して巧みにビジョンを策定する3つの方法
以下では、Contentsquareのデジタル体験インテリジェンスツールが、ユーザーのニーズと要望に合った製品ビジョンの構築にどのように役立つかを説明します。
1. ヒートマップを使って何が効果的かを調べる
Contentsquareのヒートマップによって、 ユーザーがウェブサイトのどこで時間を費やしているかを全体的に把握できるため、ユーザーが最も注目している場所や、ユーザーの注意が逸れている場所を確認できます。
こうしたインサイトを活用して製品ビジョンを洗練させます。具体的には、人気のない機能を犠牲にしてでも、ユーザーが実際に使用する機能に重点を置くようにします。
![[Visual] Heatmaps types](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/44qPX6Nyu2v2i9pGM8JdIE/e1ccfd573959295483bb4b867ca7e57f/Heatmaps___Engagements__3_.png?w=2048&q=100&fit=fill&fm=avif)
ヒートマップをフィルタリングすることで、ユーザーが移動、スクロール、クリック、または、よく利用する場所に関する集計データを理解できます。
2. インタビューを実施してユーザー層を理解する
Contentsquareのインタビュー機能によって、ユーザーとの一対一の面談プロセスを効率化できます。また、初期段階で、20万人以上の候補者プールからターゲット市場の潜在ユーザーをリクルートすることも可能です。インタビュー対象者と直接面談し、自社製品に関係する彼らのアイデンティティや競合製品を使用した経験について尋ねましょう。
これにより、顧客が誰か、顧客にとって自社製品が類似製品と比べて優れている点は何かなど、ビジョンステートメントの策定において参考になる情報が得られます。
![[visual] caption Contentsquare’s Interviews lets you automate the user research process, testing hypotheses and prototypes with rea](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/52HiOLBDtansbbMEbj2BIC/c6722b26f565d58a4ced8747f2ec0120/Video_highlight_sharing_Visual-1.avif?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
Contentsquareのインタビュー機能によって、ユーザーインタビューの参加者募集、ホスト、書き起こし、録画の共有が簡単になります。
3. ユーザーが達成しようとしている目的をアンケートで発見する
Contentsquareのアンケート機能を活用することで、ユーザーが製品を使って何を達成しようとしているのかを、彼ら自身の言葉で知ることができます。アンケートウィジェットを主要な製品ページに配置したり、ユーザーが重要なアクションをとった際に(主要機能を利用するなど)、アンケートが表示されるように設定したりできます。
回答者に、その日に製品にアクセスした理由について、自由回答形式で質問します。代表的なサンプルが得られたら、ContentsquareのAIを活用して、主な調査結果をレポートにまとめます。そして、発見したユーザーのミッションを製品ビジョンのステートメントに組み込みましょう。

Contentsquareのテンプレートライブラリを使用して、すぐにアンケートを開始できます。
![Visual - [Product strategy] Vision statement](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/3s1PV7gTHpvOChByu6odDP/1a6d75c983ec85e52ea057ae0f632b88/pexels-mikhail-nilov-8871854.jpg?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
![[Visual] Contentsquare's Content Team](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/3IVEUbRzFIoC9mf5EJ2qHY/f25ccd2131dfd63f5c63b5b92cc4ba20/Copy_of_Copy_of_BLOG-icp-8117438.jpeg?w=1920&q=100&fit=fill&fm=avif)

