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製品ペルソナ:概要、役立つ理由、定義の仕方

Visual - Product Strategy personas

ユーザーのニーズと組織の目標を結び付ける製品戦略を構築するには、ユーザーが誰であるか、製品がユーザーにどのように役立つかを確実に理解する必要があります。

理想的なユーザーに焦点を合わせ続けることを可能にする実績のある方法のひとつに、製品ペルソナの作成があります。製品ペルソナとは、ユーザーやユーザーの嗜好、ユーザーが製品を使って達成したいことなどを詳細に説明したものです。

ペルソナは、製品チームが製品の対象者を理解し、彼らが喜ぶ機能を構築するのに役立ちます。

このガイドでは、ペルソナの作成・使用方法に加え、ペルソナによってユーザーに対する理解を深め、製品をさらなる成功へと導くことができる理由を説明します。

ユーザーをより深く理解

Contentsquareでユーザーのニーズや目標、嗜好を調査できます。

製品ペルソナとは?

製品ペルソナは、主要な行動、目標、役割を含む、製品ユーザーの架空の人物像の例です。ペルソナは実在の人物ではありませんが、製品を使用する実際の人々を象徴します。

テクノロジー業界のマネージャー向けの代表的な書籍のひとつ『The Inmates Are Running the Asylum(コンピュータは、むずかしすぎて使えない!)』の著者であるAlan Cooper氏は、次のように述べています。

ペルソナは実在の人物ではありませんが、デザインプロセス全体を通して、実在の人物を象徴します。ペルソナは、実際のユーザーの仮説的な典型モデルです。架空の人物像ですが、非常に厳密かつ正確に定義されます。実際には、ペルソナを『作り上げる』というよりは、調査プロセスの副産物として発見されるものです。ただし、名前や個人情報は創作されたものです」

次に、製品チームが適切な焦点を維持するのに、ペルソナが役立つ理由を見てみましょう。

製品チームがペルソナを開発すべき4つの理由

製品ペルソナを使用すると、製品を使用するユーザーの主要な行動、目標、役割に焦点を絞ることができます。

以下では、製品ペルソナを活用することで、焦点を維持しながら、より優れた製品を構築できる4つの理由を紹介します。

  1. ペルソナは、一般的なユーザーを対象とするデザインを避けるのに役立ちます。すべての人を満足させる製品を作ろうとすると、結局は誰も満足させることができなくなります。ひとつの典型的なユーザータイプの特定のニーズを満たす製品をデザインする方がはるかに効果的です。

  2. ペルソナは、製品を使用するユーザーへの理解と共感を育むのに役立ちます。ペルソナは架空のものですが、実際のユーザーのニーズと期待を反映しています。そのため、ペルソナを使用することでユーザーの視点を理解しやすくなり、ユーザーのニーズを満たす製品を開発できる可能性が高まります。

  3. ペルソナは、製品チームがソリューションを発見するのに役立ちます。ペルソナを使用することで、製品チームは注文を待つのではなく、複数のユーザーのアイデアを統合し、特定の状況に最適なソリューションを導き出すことができます。

  4. ペルソナは、自分のために製品を開発していないことを保証するのに役立ちます。ペルソナを使用することで、問題から自分を切り離すことができます。「自分だったらこの目的で製品を使うので、ユーザーも同じだろう」という思い込みから脱却し、「自分たちの調査によると、プロダクトマネージャーのPaulaはXをするためにこの製品を必要としている」というように推論できるようになります。

ペルソナの構成

製品チームがペルソナから価値を得るには、ペルソナを可視化する必要がありますペルソナを開発する方法は多種多様であり、最適なアプローチはチームや製品によって異なります。

例えば、プロダクトマネージャーのKent McDonald氏 は、かつてカンファレンス向け投稿システムの開発に携わった経験がありましたが、その製品のペルソナの例を以下のように説明しています。

Visual -  Reed The Reviewer
Reed The Reviewer from KBPMedia

製品ペルソナの開発にどのようなテンプレートやアプローチを採用する場合でも、欠かせない要素がいくつかあります。

  • 名前:ペルソナに名前を付けると、チームはペルソナに共感しやすくなります。また、ペルソナの要望やニーズについて話し合う際に、より自然にペルソナに言及できるようになります。

  • 写真:ストックフォトを使用したり、スケッチを作成したりしてペルソナを具体化し、より親しみやすいものにします。

  • 製品の利用に影響を与える特性:製品の利用の仕方に関連する行動情報を特定します。例えば、アクセシビリティのニーズや、モバイル端末のみでの製品使用、テクノロジー全般に関する知識レベルなどが挙げられます。

  • 目標、動機、ペインポイント:ユーザーが製品を使用して達成しようとしている目的、その目的を達成したい理由、目的達成を妨げる障害を特定します。

興味や価値観、日々の習慣など、追加情報をトラッキングすることもできます。どのような詳細情報を含めるにせよ、目標はユーザーに対する共感を育み、製品に関して有意義な決定を行えるようにすることにあります。

製品ペルソナを構築するための5つのヒント

意図的なアプローチでペルソナを構築することで、ユーザーについて多くのことを学び、ユーザーが好む製品を構築しやすくなります。

重要なのは、焦点を絞ったユーザー調査でペルソナ作成を裏付けることです。そうしないと、実際のユーザーの目標や行動ではなく、それらに対する自身の認識に基づいてペルソナを作成してしまうことになります。以下では、データに基づいて製品ペルソナを構築するための5つのヒントを紹介します。

1. ユーザーに関する情報を収集する

優れたペルソナは実際のユーザーのストーリーに基づいて作成されます。従って、基盤となるステップは情報を収集することです。

インタビューはユーザーとの距離を縮める優れた方法です。Contentsquareのインタビュー機能などのツールを活用することで、興味のある参加者と一対一で対話する機会を設定できます。製品の使用感や使用目的、他のソリューションではなく自社製品を選んだ理由などを直接尋ねてみましょう。

より自発的な回答を得るには、製品を積極的に利用しているユーザーを対象にアンケートを実施することをお勧めします。Contentsquareのアンケート機能のようなツールによって、ユーザーが重要な機能を利用している際など、ユーザーが製品を体験しているまさに重要な瞬間にオンサイトアンケートが表示されるように設定できます。ユーザーがその日に製品を利用した理由や、製品体験の感想などについて尋ねてみましょう。

Get clarity on survey responses - Feedback response

Contentsquareによって、アンケートを開始するだけでなく、アンケート回答者をフォローアップインタビューに招待することもできます。

2. 調査結果から行動パターンを特定する

ユーザーに関する情報を収集したら、調査結果からパターンを見つけ出します。このステップでの目標は、類似した行動に基づいて類似したユーザーをグループ化し、潜在的なペルソナを特定することにあります。

また、ユーザー間での行動の違いにも注目しましょう。こうした行動の違いが、ペルソナを特定する手がかりになる可能性があります。

以下は行動パターンの例です。

  • 一度に1つのタスクに集中しているか、それとも常にあるタスクから別のタスクに切り替えているか。

  • ユーザーは、製品の使い方を理解するためにいろいろ調べたり、さまざまなアプローチを試したり、すぐにヘルプサイトを検索したりしているか。それとも手を止めて何もせずにいるか。

  • ユーザーがコンピューターから製品にアクセスしている場合、キーボード、マウス、トラックパッドを使用しているか。

ヒートマップを使用し、さらにインサイトを取得することで、ユーザー調査で得たデータを補完できます。ヒートマップは、サイト上でユーザーがクリック、移動、スクロールする場所を集計して表示し、ページ内の最も人気のあるエリアと最も人気のないエリアを把握するのに役立ちます。


🔥 プロのヒント:Contentsquareのヒートマップをすでに使用している場合は、強力なフィルタリングオプションの利用をお勧めします。

ペルソナの特定に役立つ可能性のある行動パターンや属性を見つけた場合は、フィルターを使用して、その特性を示すユーザーのみを対象としたヒートマップを表示できます。例えば、再訪問者や特定のデバイスを使用しているユーザーなどのカテゴリーでセグメント化することが可能です。

[Visual] heatmaps back into action

Contentsquareでは、ヒートマップに表示されるデータをカスタマイズできます。

3. メインの製品ペルソナを特定する

ほとんどの製品は、さまざまなユーザーの多様なニーズを満たすため、複数の製品ペルソナが生まれる可能性が高いです。しかし、たとえ製品が多くの人にとって関連性があるとしても、すべてのユーザーに合わせてカスタマイズすることはできません。

製品を開発することを決定した際に想定していたユーザーを象徴するペルソナを1つ特定します。これがその製品のメインのペルソナとなります。ただし、ペルソナは1つだけとは限りません。製品を使用するセカンダリペルソナ(若干、一般的でないユースケース)も考慮する必要があります。

望ましいプラクティスは、メインのペルソナを念頭に置いてデザインに関する決定を行い、その決定をセカンダリペルソナに対して検証することです。

4. カスタマージャーニーの重要なタッチポイントを見つける

メインの製品ペルソナを特定したら、そのペルソナ向けのカスタマージャーニーマップを作成します。

ペルソナが初めて製品にログインしたとき、新しい機能を使用したとき、特定のステップでサポートが必要なときなど、カスタマージャーニーでペルソナが遭遇する特定のタッチポイントを書き留めます。

こうした情報が明確でない場合は、Contentsquareのジャーニー分析のようなカスタマージャーニーの可視化ツールを使用することをお勧めします。ジャーニー分析では、カスタマージャーニーに関するデータがサンバーストグラフで表示され、ユーザーが最初にどこにアクセし、どこで離脱しやすい傾向があるか、その過程でどのページを訪問したかを把握できます。そのため、マップを作成する際に重点を置くべきタッチポイントが明らかになります。

[Visual [product illustrations] customer journey

ジャーニー分析によって、ユーザーがアクセスするページを把握できます。

5. 製品ペルソナを製品チームと共有する

ペルソナを作成したら、それをチームや組織に紹介します。

ペルソナを効果的に紹介するには、できるだけ具体的な情報を提供する必要があります。プレゼンテーションには、豊富なビジュアルに加え、感情に訴える説明を含めます。ペルソナの仮のLinkedInプロフィールを作成することもできます。

ユーザーペルソナがなぜ役立つのかをチームに理解させる必要があります。ペルソナは主にデザイン手法であるため、ステークホルダー全員がそのコンセプトに馴染みがあるわけではありません。中には、まったく馴染みがない、あるいは少しばかげていると感じる人もいるかもしれません。ペルソナを紹介する際には、製品に関する優先順位付けやデザイン上の決定を導くために必要な存在であることを説明しましょう。

製品チームによるペルソナの活用方法

以下では、製品チームがペルソナを活用してユーザーを満足させる製品デザインを作成する方法を説明します。

ペルソナに基づいて優先順位を決める

ペルソナに含まれる情報は、製品バックログの管理において貴重なリソースとなります。バックログ項目を作成する際は、そのバックログ項目がどのペルソナを対象としているかを明確にしましょう。バックログ項目をペルソナに関連付けられない場合は、その項目をバックログから完全に削除できる可能性があります。

製品ペルソナは、構築する製品のターゲットグループに焦点を当てるのに役立ちます。

ペルソナに基づいてデザインを決定する

ペルソナによって、製品を使用するユーザーに関するインサイトが得られるため、ユーザーにとって使いやすい製品の誕生につながるデザイン上の決定を行うことができます。

ペルソナは、ユーザーが製品を使用する環境や、テクノロジーに対するユーザーの適応性、製品の使用に影響を与える可能性のある特性などを理解するのに役立ちます。

ペルソナの効果的な活用における3つの課題

効果的なペルソナの活用を妨げる以下の問題に直面する可能性があります。

1. ペルソナを作成したにもかかわらず、まったく活用しない

問題点:製品ペルソナを作成し、チームと共有したものの、まったく活用されない。——この問題は、チームが優先順位やデザインの決定を導くためにペルソナを活用する理由や方法を理解できていない、あるいはそもそもペルソナの作成に賛同していない場合に生じます。

解決策:チームにペルソナを紹介する際には、ペルソナを作成した理由と、ペルソナを何に活用するのかを明確に伝えます。新しいツールや機能の開発について議論する場合、メインのペルソナがその製品を必要とするか、または使用するかを考える必要があります。また、ペルソナが示す行動や特性が、製品に関するデザインや優先事項の決定に役立つ理由についても説明しましょう。

2. 適切な調査を行わずにペルソナを作成する

問題点:ブレインストーミングや一般的な話し合いの結果、ペルソナを作成したものの、有意義なデータに基づいていない。——この場合、ペルソナは実際のユーザーを効果的に表現したものではなく、チームメンバーの認知バイアスが反映されるため、チームの優先順位付けや機能デザインの役に立たない可能性があります。

解決策:ユーザーをより深く理解するためにアンケートユーザーインタビュー、観察調査などを含む、ユーザー調査の明確な計画を立てます。既存製品のペルソナを作成する場合は、これらの調査活動に加え、ユーザーが現在製品をどのように使用しているかに関する情報を取得しましょう。

3. サイロ化された環境でペルソナを作成する

問題点:製品ペルソナを裏付けるユーザー調査を実施したものの、ペルソナ作成時に製品チームを関与させなかった。——この場合、ペルソナが作成されても、それを裏付ける、意味のあるコンテキストの詳細が提供されないため、製品チームは表面的な説明しか分かりません。このように背景情報が不足していると、製品チームの賛同が得られなくなります。

解決策:製品チーム全体をユーザー調査の段階で巻き込む方法を探ります。全員を参加させるのが難しい場合は、少なくともプロダクトマネージャー 、プロダクトデザイナー、テクニカルリーダーの3名が、ユーザー調査とペルソナ作成に関与するようにしましょう。

製品ペルソナの作成後に行うべきこと

製品ペルソナを作成したら、定期的にそれを確認し、チームメンバーがペルソナを実際の人物として認識しながら、それに基づいて優先順位を適切に決定するようにします。

製品ペルソナは、ユーザーに対する理解と共感を育むための強力なツールです。製品ペルソナを通してユーザーをより深く理解することで、ユーザーが満足する製品を開発することが可能になります。

ユーザーをより深く理解

Contentsquareでユーザーのニーズや目標、嗜好を調査できます。

製品ペルソナに関するよくある質問

  • B2Bのシナリオでは、製品の購入決定者(例:経営幹部、ITマネージャー)と、実際に製品を使用する人(例:従業員)が異なる場合があります。このような場合は、購入者とエンドユーザーそれぞれに個別の製品ペルソナを作成する必要があります。

    ユーザー ペルソナの背後にある基本的な考え方は同じですが、適用方法が異なります。コンバージョンを増やしたい場合は「購入者」ペルソナに重点を置き、 ユーザー エクスペリエンスを向上したり顧客離れを削減したい場合は「エンド ユーザー」ペルソナに重点を置きます。

[Visual] Contentsquare's Content Team
Contentsquare's Content Team

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