新しい機能にはどれも、顧客がプロダクトから得られる価値を高めるという包括的な目標があります。しかし、顧客に機能のメリットを示し、利用してもらうことができなければ、その価値は無駄になってしまいます。
このガイドでは、ユーザーに喜ばれる機能の提供を開始し、それらの機能を、ユーザー体験において不可欠な要素にする方法を解説します。簡単に実践できる以下の8つの方法を通じて機能の利用促進戦略を強化することで、プロダクトの可能性を最大限に引き出すことが可能になります。👇
1. ユーザーのアクションとフィードバックの優先順位を決める
まず、最終目標である、「顧客を満足させる機能の提供」を念頭に置きます。この目標を達成するには、ユーザーに直接ニーズや要望について尋ね、彼らの行動から学ぶ以上に効果的な方法はありません。
以下によって、ユーザーにとって最も価値がある機能を簡単に特定できます。
ヒートマップとセッションリプレイで即座にフィードバックを得る:開発に移行する前に、プロトタイプに対するユーザーの反応を理解します。例えば、Contentsquareを使用し、ユーザが触った要素をヒートマップで確認したり、関連するリプレイを見たりすることで、一部のユーザのみが機能を利用し、他のユーザがその機能を無視している理由を把握できます。
アンケートでインサイトを収集する:ユーザーに、好みやペインポイントに基づいて、頻繁に利用される機能をランク付けしてもらいます。Contentsquareでは、機能の優先順位付けテンプレートを使用してすぐにアンケートを実施できます。また、人工知能(AI)アシスタントを利用して目標ベースのアンケートを作成したり、白紙の状態からアンケートを作成したりすることもできます。
![[Visual] Survey customization](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/6shPBpLRyo3LvPbfgGcI1H/7c328ef792f49d3f871784910c81b6d6/Screenshot_2024-11-06_at_16.10.38.png?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
ContentsquareのAIテクノロジーによってアンケートを数秒で作成できます。
2. 機能に関する明確な目標を設定する
SMARTフレームワークを使って明確な目標を設定します。SMARTは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Attainable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限付き)の頭文字をとったものです。SMARTを応用する方法のひとつとして、より広範な(具体的かつ関連性のある)ビジネスゴールを細分化することが挙げられます。そして、一定期間における(測定・達成可能な)複数の指標に基づいて成功度を評価します。
例えば、アプリ内で支払い方法を保存・管理できるモバイルウォレットの場合、以下を新しい機能の明確な目標として設定できます。
ビジネス目標:コンバージョン率を15%向上させる
機能目標: リリース後2か月以内に、ユーザーの30%にモバイルウォレットをアクティベートさせる
🔥プロのヒント:準備が整ったら、Contentsquareのインパクト定量化を使用して、新機能のリリースの成功度を測定します。インパクト定量化は、新機能のリリースなどの変更が、機能の利用率やコンバージョン率といった主要なビジネス指標にどのように影響するかを評価するのに役立ちます。これらの指標を追跡することで、測定可能な目標を期限内に達成できているかどうかを判断できます。
![[Visual] Impact Quantification](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/4hruuDeQlzdF4UXSN4tMJh/dc014572f43a447606bf1070ef5a83c6/Impact_Quantification.png?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
Contentsquareのインパクト定量化を利用して、新しい機能のパフォーマンスをモニタリングします。
3. 最も価値のある指標を特定する
機能の利用に至るファネル全体において重要な指標を特定します。単一のインタラクションに焦点を当てるのではなく、これらの指標を組み合わせて追跡することで、全体像を把握します。
以下は機能の利用に至るファネルの主なステージです。
接触:ユーザーがポップアップやツールチップを通じて機能の存在を知ります。
アクティベーション:ユーザーが「これは便利!」と感じ、その機能の価値を認識します(後ほど詳しく説明します💡)。
使用:ユーザーが初めて機能を試します。
リピート使用:ユーザーがより頻繁に機能を利用するようになります。
以下は、追跡および分析すべき最も重要な指標です。
接触
利用に至るまでの時間(もしくはTime to Value、すなわち価値実現までの時間):ユーザーが初めてその機能に接触してから利用を開始するまでにかかる時間を意味します。利用に至るまでの時間が短いほど、機能が発見しやすく、オンボーディング体験が楽であることを示します。
👉 利用に至るまでの時間=機能の利用開始日-最初のインタラクション
アクティベーション
利用普及率:ユーザー層または特定のセグメントで、機能がどの程度広く利用されているかを示します。パーセンテージが高いほど、その機能がユーザー層全体にとって魅力的であることを意味します。
👉 利用普及率=(特定の期間内に機能を操作したユーザーの数/特定の期間内の総ユーザー数)x100*
使用
機能利用率:ユーザーが新しい機能をどのくらい早くワークフローに取り入れているかを示します。すぐに機能の利用を開始するユーザーの割合は、その機能がユーザーのニーズに合致し、ペインポイントを解消できることを意味しています。
👉 機能利用率=(月間アクティブユーザー数(MAU)/月間総ユーザー数)x100*
利用に至るまでの時間(もしくは価値実現までの時間):「接触」の定義を参照 👆
リピート使用
利用の深さ:主要なユーザーグループが、どのくらいの頻度で機能を使用し、どのくらい機能を理解してそれに頼っているかを示します。利用の深さは、その機能における定着性、関連性、有用性の高さを意味します。
利用の深さ=(ユーザー数)x(使用頻度)x(使用レベル)×(使用された機能の幅)
* 利用普及率と機能利用率には同じ公式が使用されていますが、その期間と解釈は異なります。例えば、経時的な普及率が70%の場合、その機能の利用が広く普及していることを示します。一方、最初の1か月の機能利用率が30%である場合、その数値は、ユーザーとプロダクトにとって、機能にどれだけの付加価値があるかを示しています。
🔥プロのヒント:Contentsquareのダッシュボードを使用して、機能の利用に関する指標を追跡し、リアルタイムで視覚化できます。さらに、より豊富な定量データを示すカスタムウィジェットを追加することで、全体像を把握することが可能になります。
エラーやレイジクリックを見つけた場合は、ダッシュボードでセッションリプレイなどの関連するビジュアルデータも確認できます。これらのデータを詳細に分析することで、問題の背後にある行動を理解し、それが単発的なケースではなく、より広範囲に及んでいるかどうかを判断できます。
![[Visual] Session replay](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/3V0m0aiH798y8NB9AK339A/307beb5da118e4dd527e89e5aa2b6ba9/Screenshot_2024-11-06_at_11.42.16.png?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
Contentsquareのセッションリプレイでは、レイジクリックが発生した瞬間にそれを確認できるため、ユーザーのフラストレーションを理解して仮説を検証するのに役立ちます。
ユーザーが「これは便利!」と実感する瞬間をマッピングする
ユーザーが「これは便利!」と感じる瞬間にできるだけ早く到達できるようにします。これは、ユーザーが機能の価値や可能性を完全に理解したときの感情的な状態を意味します。アクティベーションのステージでこの状態に達するのが理想的です。
この一度限りの体験は、ユーザーのアクティベーションにつながる一連のイベント(「セットアップ」の瞬間とも呼ばれます)の後、ユーザーが(「習慣」のループとも呼ぶべき)リピート行動を確立する前に発生します。
例えば、Grammarlyのユーザーにとって「これは便利!」と感じる瞬間は、このAI主導のライティングツールが文法やスペルチェック以外の機能も提供していることに気づいたときに発生するでしょう。この場合、「セットアップ」の例として、基本プランのユーザーに、高度なライティングインサイト機能を1か月間無料で試すように勧めることなどが挙げられます。
そして、「習慣」ループを形成するには、この主要なユーザーグループの行動を監視する必要があります。機能が一貫して使用されているか、使用されている場合(または使用されていない場合)、その理由は何かを特定します。
![[Visual] grammarly](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/4GFkrM4vEUrroaMgErZL8M/1cbc69c4415a5d78b69e8f8cdba880dc/unnamed_-_2024-11-14T163545.031.png?w=1920&q=100&fit=fill&fm=avif)
Grammarlyの高度なライティング機能の例
「私たちはアクティベーションジャーニーに従っていますが、そのためには機能の利用につながる『セットアップ』→『これは便利!』→『習慣化』の流れを理解する必要があります。これを理解することで、セットアップを促進するフローを定義し、ユーザーがより早く『これは便利!』と感じる瞬間にたどり着けるようになります。そして、それが好ましい体験であり、ユーザーがそこに価値を見いだすことができれば、その行動が繰り返され、習慣化する可能性が高まります」- Hotjar シニアプロダクトデザイナー Ilana de Andrade
5. 機能リリースに向けてオムニチャネルキャンペーンを開始する
機能の発表を小規模バージョンのプロダクトリリースとみなし、オムニチャネルキャンペーンを積極的に展開します。複数のチャネルとプラットフォームを通じて新規ユーザーと既存ユーザーにリーチし、あらゆるタイプのユーザーにとって快適な環境でアピールしましょう。
機能のリリースプランには、以下のチャネルとアクションを含むようにします。
アプリ内メッセージ:アプリ内で、メリットやユースケースとともに機能を紹介します。
ウェブサイトバナー:ウェブサイト上で邪魔にならない形で新しい機能について発表します。
Eメールキャンペーン:リリースノート、機能の使用方法の説明、まだ機能に触っていないユーザーへのリマインダーアラートなどを含む、ステップメールをセグメント別に作成します。
ソーシャルメディアでのオーガニック投稿:役に立つニュースを既存のフォロワーと共有します。
スポンサーシップ:自社ブランドと合致するフォロワーやネットワーク、コミュニティを持つインフルエンサーを活用します。
6. 新しい機能についてアプリ内でガイダンスを提供する
プロダクトのユーザーインターフェース(UI)内で機能チュートリアルを提供することで、オンボーディングを改善できます。インタラクティブなチュートリアルをデザインし、ユーザーが段階的に機能を理解できるよう導きます。ツールチップ、ポップアップ、オーバーレイを活用して、重要なアクションや要素を強調しましょう。
さらに、新しい機能専用のサイトやアプリ内ページに動画を組み込みます。また、ユーザーが質問したり、チュートリアルに関する意見を提供できるように、フィードバック収集ウィジェットを設置します。
![[Visual] Feedback button - How would you rate your experience](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/6zpie5F6Gwd4oyqXaxBfcN/b7e9b7f3bfcc6265f47b5294d8fec319/Feedback_button.png?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
Contentsquareのフィードバックウィジェットによって、ユーザーが機能についてどう感じているかを把握できます。
7. テストとイテレーションを実施する
機能の利用促進戦略が、期待された成果をもたらしていない場合は、テスト・実験を通じて改善します。データを活用して、問題とその原因を把握します。定性データと定量データを組み合わせて問題を正確に特定することで、それに対する解決策を策定し、自信を持って変更を実施できます。
以下によって、機能利用率が低い理由が明らかになります。
ユーザーのクリック数を監視する:機能ダッシュボードにアクセスし、ユーザーのクリック数が減少していないか確認します。
ビジュアルデータを詳しく調べる:関連するセッションリプレイをチェックし、ユーザーが機能を使用している最中に何を体験しているかを直接確認します。
テストを実施する:発見したパターンやトレンドに基づいて仮説を立てます。機能上の問題の場合はユーザビリティテストを、 メッセージングの問題の場合はABテストを実施します。
アンケートによるフォローアップを行う:機能の利用体験についてユーザーに直接尋ねることで、テスト結果に深みを加えることができます。
変更を実施する:ユーザーのインサイトに基づいて、機能やアプリ内ガイダンスの説明、またはその他の要素を微調整します。
![[Visual] Session player](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/1eHjusC4SvD8W8zPa99nU5/c0092f4d1cb0246c0495c039f86e2885/image7__8_.png?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
さまざまなフィルターを使用して、最も関連性の高いセッションリプレイを数秒で見つけられます。
8. HEARTフレームワークを使用して長期的な機能の利用を促す
新しい機能をリリースする場合でも、既存機能の利用をユーザーに促す場合でも、GoogleのHEARTフレームワークを適用します。このフレームワークによって、新たなプロダクト機能の長期的な成功に貢献する、より広範な360度のシグナルを追跡できます。
以下は、このフレームワークを構成するカテゴリーと、それらの追跡に使用できるContentsquareのツールです。
満足度:アンケートやフィードバックウィジェット、Net Promoter Score®を通じて、ユーザーが機能にどれだけ満足しているかを測定します。
エンゲージメント:ヒートマップを起動させて最新のエンゲージメントゾーンを表示し、ユーザーのアクティビティや、機能とのインタラクションに注目します。
利用:ファネル分析を実施し、初めて機能を試すユーザーの数を調べます。
リテンション:異なるユーザーセグメント間で、リピーターの行動を経時的に比較します(顧客リテンション)。
タスクの成功:録画を確認するか、またはアンケートを実施して、ユーザーがその機能を使ってどれだけ効率的にタスクを達成できるか評価します。

Contentsquareのファネル分析によって重要な離脱ポイントを簡単に特定し、ユーザージャーニーを最適化しながらリテンションを促進できます。
ユーザーが新しい機能をすぐに気に入るように働きかける
どの新機能にも、プロダクトの価値を高めるチャンスがあります。しかし、効果的な機能の利用促進戦略がなければ、そのチャンスは無駄になってしまいます。このガイドで紹介した8つの戦略を活用することで、新しい機能が即座に注目を集めるだけでなく、ユーザー体験にシームレスに統合できるようになります。
早速アプローチに磨きをかけ、プロダクト機能の可能性を最大限に引き出し、長期的な成功とユーザーの満足度向上につなげましょう。
![[Visual] Guide product adoption - Feature](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/4cqFKCWl0iFAb0KhqNPtNJ/bbceeed9a5ad9cd520f19c954de006e2/-Guide-_-Product_adoption-_Feature.jpg?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)