NPS(Net Promoter Score)を算出し、そのスコアを詳細に分析したあとは、次の大きな課題が浮かび上がります。
NPSを向上させるための6つの実践的な戦略をご紹介します。
1.顧客とのループを閉じる
ネット・プロモーター・システムのフレームワークでは、顧客からのスコアの背景や理由を深掘りするために、必ず「ループを閉じる(=フォローアップを行う)」ことが推奨されています。たとえば、直接インタビューを行ったり、フォローアップメールを送信したりすることで、より詳細なフィードバックを得て、顧客中心の改善活動に活かすことができます。
まずは小さな一歩として、デトラクター(スコア0〜6)が現れた場合に、すぐにアクションを取ることから始めましょう。マネージャーや担当者がその顧客に直接連絡し、不満を真摯に受け止め、状況を改善するために対応します(もし改善が難しい場合は、その理由を丁寧に説明します)。 「あなたの声を大切にしている」と伝える姿勢そのものが、信頼関係の再構築につながる第一歩となります。
2.NPSを軸に全社を巻き込む
まず、すべてのリーダーが「プロモーターをできる限り増やすことが共通の目標である」と理解し、そのビジョンを全社に浸透させることが大切です。
NPSが何であるか、どのように追跡・評価されるか、そしてそれが会社の年次評価にどのように関わるかをオープンに共有しましょう。 売上や利益といったKPIだけでなく、NPSスコアやフィードバックに基づいてインセンティブを設定するという考え方を取り入れることも検討しましょう。
3.NPSについて定期的に話し合う
NPSの考案者であるFred Reichheld氏は、こうした会議を「ハドル(Huddles)」**と呼びます。 このような短時間でインタラクティブな会議は、全員が「最高の顧客体験を提供する」という目的に立ち返る場となり、サービスに関するエスカレーションの共有や解決策のブレストにもつながります。
4.NPSのフィードバックをスタッフ教育に活用する
NPS調査から得られる自由記述のフィードバックは、どの部署・スタッフに改善の余地があるかを教えてくれます。 このフィードバックを適切に活用して、従業員に対して顧客体験の改善につながる戦略や行動を教育するための指針としましょう。
5.根本原因分析の実施
NPSの分析を進める中で、プロモーターとデトラクターのフィードバックに共通のパターンが見えてくることがあります。 たとえば、ある特定の部署ではデトラクターが目立ち、別の部署では非常に高評価を得ている、といったケースです。このようなときは、「その低評価の原因は部署にあるのか」「カバーしている商品ラインか」「あるいは全く別の要因か」を明らかにするために、徹底的な原因分析(Root-cause analysis)を行いましょう。
6.組織的な変更を実行し、効果を検証する
もちろん、たった数件のクレームだけを理由に、製品やサイト全体を変更するべきではありません。 しかし、デトラクターからのデータが構造的な問題を示しているのであれば、製品やポリシー、メッセージングなどに対して適切な範囲で変更を加えるべきです。変更を行ったあとは、NPSの変化を追跡し、変更前後でスコアとフィードバックを比較しましょう。 改善が見られれば、プロモーターを増やすことに成功したということです。もし改善が見られなければ、新たなデータを武器に再スタートを切りましょう。
Net Promoter®、NPS®、NPS Prism®、およびNPS関連の絵文字は、Bain & Company, Inc.、NICE Systems, Inc.、およびFred Reichheldの登録商標です。 また、Net Promoter ScoreSMおよびNet Promoter SystemSMは、Bain & Company, Inc.、NICE Systems, Inc.、およびFred Reichheldのサービスマークです。