優れた顧客体験は、推測ではなく実際のデータから生まれます。しかし、最もデータドリブンなチームにとってさえ、複雑でサイロ化された情報を実践的なインサイトへと変換するのは容易ではありません。
かつてデータ分析といえば、必要なインサイトを得るために多くの時間をかけて手作業を行い、常にエンジニアリングチームや分析チームに助けを求めることを意味しましたが、もはやそのような時代は終わりました。
今では、膨大な量のデータを分析し、見逃されがちなトレンドやパターンを見つけるという大変な作業をAIツールに任せられるようになりました。AI主導のツールとプラットフォームを活用することで、組織全体でデータを民主化し、より素早くインサイトを取得しながら、顧客データを迅速かつ効果的なアクションへとつなげることが可能になります。
以下では、テクノロジースタックに最も欠かせない5つのAI分析ツールと、それらによって顧客体験を最適化し、顧客の満足度を高めてビジネスにより大きな成果をもたらすことができる理由をご紹介します。
重要なポイント
AI分析ツールには自然言語が使用されているため、誰もがデータのパワーを活用できます。その結果、より短時間でインサイトを取得し、トレーニングやオンボーディングなど、導入・利用における障壁を取り除くことができます。これにより、データ分析チームの時間が解放されると同時に、マーケティングチームなどのデータ利用者は、情報に基づいた決定に必要なあらゆる情報を得ることができます。
顧客を理解し、顧客の視点で考える上で、定量データと定性データが不可欠ですが、定性分析を通じて行動に関するインサイトを大規模に取得するには、従来、多くの時間と労力を要しました。しかし、AI分析ツールによって状況が一変し、膨大な量の定性データと定量データを、すぐに活用できるインサイトへと変換することが、これまで以上に容易になりました。
Contentsquareをはじめとする、AIインテリジェンスがあらかじめ統合されているオールインワンのデジタル体験プラットフォームを活用することで、複数のツールや機能(セッションリプレイやフラストレーションスコアなど)を通じてカスタマージャーニー全体にわたるデータを収集し、統合できます。これにより、ユーザー行動をより深く理解し、さらに充実したインサイトが得られます。
1. セッションリプレイの概要:ユーザーの行動を詳細に理解
セッションリプレイは、ユーザーの立場に立って行動を理解する上で最も効果的なツールのひとつです。セッションリプレイによって、ユーザーがセッションの最初から最後までどのようにサイトをナビゲートしているか、例えば、ユーザーがどこで興味を示し、行き詰まり、興味を失ったかを特定できます。しかし、複数のセッションを観察してトレンドを見つけ、仮説を検証するのに多くの時間がかかる場合があります。
ContentsquareのAIを活用したセッションリプレイの概要は、1つまたは複数のセッションにわたるユーザーの行動パターンを分析し、数時間分に及ぶデータを瞬時に要約して最も重要なインサイトを提供します。要点や潜在的な問題、ユーザーの行動に関するトレンドを、すべてタイムスタンプ付きのリンクと一緒に即座に取得し、最も関連性の高いセッションリプレイのポイントにジャンプできます 。
このツールの使用開始に役立つユースケースの一部をご紹介します。
パーソナライズされた顧客体験の創出:セッションリプレイを特定のユーザーセグメント(人口統計的属性、地域、行動など)でフィルタリングし、それぞれのセグメントのユーザーがどのようにサイトを利用しているかを把握します。次に、 AIマーケティング戦略の一環としてパーソナライゼーションを行い、調査結果に基づいてこれらのセグメントの顧客体験を最適化します。
セールスポイントの特定:eコマースストアで購入を完了したセグメントのセッションリプレイを分析し、サイトやメッセージで注目を集めた部分を確認し、今後のページデザインやコンテンツの作成でこれらのフォーマットを再利用します。
![[Visual] AI session replay summaries](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/3xrdkhayKftcgj7tXavwVS/bd8b2ea0930743b584316093cd8aab4d/AI_session_replay_summaries.png?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
AI makes it easier to cross-reference and analyze the multitude of data we currently struggle to integrate, helping us extract real insights from it.
2. AIアシスタント:自動データ分析でより素早くインサイトを取得
大規模なデータセットを扱う場合、特にデータ分析を専門としない方は、どこから手をつけてよいのか分からないことがあります。
ContentsquareのChat with Senseのようなデータ分析用のAIアシスタントツールを利用することで、トレーニングを受ける必要なく、あらゆるチームの誰もが顧客データを詳しく調べることができます。
SenseはContentsquareの複数の主要機能にわたってデータを分析します。
ジャーニー分析:ユーザーがサイトにアクセスしてから離れるまでのジャーニー全体の進行を把握し、成果をもたらしたパスを特定してルートを最適化します。
ファネル:ユーザーが離脱した場所(とその理由)を確認し、ユーザーが行き詰まる場所を特定してコンバージョンを妨げる要因を修正します。
ページ比較:特定のページのKPIを分析して 比較し、パフォーマンスを評価します。
ゾーニング分析:ヒートマップを使用してユーザーがサイト上の特定のコンテンツや要素とどのようにエンゲージしているかを把握し、クリック、移動、スクロール深度などのユーザーインタラクションを可視化します。
インパクト定量化:イベントや問題が顧客体験(CX)にどのように影響するかを理解し、その影響をコンバージョンと収益に変換して優先順位付けを合理化します。
質問をするだけで、あとはSenseにお任せください。Senseは自然言語を適切なイベントに変換して分析することで、質問への回答を自動的に見つけ、重要なインサイトや関連する視覚的データ(グラフ、ファネル、ジャーニーマップなど)を提供し、フォローアップの質問と次のステップを提案します。
AIデータ分析を開始するのにヒントが欲しい方は、以下を参考にしながら、コンバージョンやリテンション、収益につながる行動を理解するのに役立つ質問をSenseに投げかけてみてください。
コンバージョンに至るユーザーの典型的なジャーニーとは?(回答については下の画像をご覧ください)
最近のコンバージョン数の減少の原因は何ですか?
ユーザーが離脱する可能性が最も高い場所はどこですか?その理由は何ですか?
過去1か月間の主要ユーザー セグメントのリテンションを分析してください
有料広告からサイトにアクセスしたユーザーとオーガニックなソーシャルメディア投稿からアクセスしたユーザーのコンバージョン率はそれぞれどれくらいですか?
![[Visual] Chat with Sense typical journey](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/5f6Z3h6Yjozlo5CWQZJX8w/f127d65f5de5edb417600ab10f382b1b/CSQ-Chat-with-Sense-typical-journey.jpg?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
そして、これらのインサイトを活用し、以下のようにデータに裏付けされた変更を行います。
より多くのユーザーが、最も大きな成果を上げているパスを選択するように促す
パフォーマンスの高いチャネルへの投資を優先する
主要なユーザーセグメントのリテンションを高めるために実施できるABテストを特定する
3. AI主導のアンケート:ユーザーからのフィードバックを収集して分析し、その結果に基づいて対応
CXの向上において、 ユーザーフィードバックは最も強力なツールのひとつです。しかし、アンケートの作成や管理、定性的な回答の分析には、これまで多くの時間とリソースが必要とされました。
そこで、Contentsquareのアンケート用AIテクノロジーを利用することで、アンケートを迅速に生成、開始、分析し、ユーザーから直接得た顧客の声に基づくインサイトを取得できます。トレンドやパターンを見つけるために、手動でレスポンスを一つひとつ確認する必要はありません。
AIアシスタントに調査の目的を伝えると、関連する質問を生成し、そのまますぐに使えるアンケートをわずか数分で作成してくれます。例えば以下が可能になります。
ユーザーが決済プロセスを放棄する理由を発見する
顧客満足度を測定する
AI分析によって主要なユーザーセグメントの顧客体験を改善する方法を理解する
これにより、アンケートの作成プロセスの大幅な効率化と時間の節約が可能になり、調査キャンペーンをより素早くスタートさせて結果の収集開始を早められます。
結果が集まると、回答の概要、主な重点分野、関連する引用、次のステップに向けたアクションプランを含むサマリーレポートがAIによって生成され、提供されます。
さらに詳細な分析を行う場合は、「機能リクエスト」「バグ」「モバイル」などのタグを作成すると、AIによって検出され自動的にタグ付けされます。さらに、AI主導のセンチメント分析によって、テキスト回答に「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」のタグも付けられるので、キーワードやセンチメント別にフィードバックを分析し、「結果」タブでより詳細な内訳を確認できます。
![[Visual] AI Survey responses](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/3Bjrk78ejf8CbgiHVmLy9b/1485aa768775cbec4b50a298ba71bd41/AI_Survey_responses.jpg?w=1080&q=100&fit=fill&fm=avif)
AIを利用してアンケートの回答に重要なトピックを自動的にタグ付けすることで、より高速かつ包括的な分析を実現
4. フラストレーションのスコアリング:問題を特定して対処
さまざまな理由によってユーザーのフラストレーションが発生する可能性がありますが、すぐに対処する必要がある理由を把握するのが困難な場合があります。
Contentsquareのフラストレーションスコアによって、サイトやプロダクトに存在するフリクションを自動的に可視化し、ビジネスインパクトに基づいて次のステップを優先順位付けできます。AI分析に基づくユーザーのフラストレーションスコアには、次のようなフラストレーション要因が考慮されます。
UXに問題があることを示唆するレイジクリック、フィールドの複数回送信、過度のホバー
JavaScriptおよびAPIのエラー
読み込みの遅延、ループ動作などのパフォーマンス問題
AIによって、これらのデータに基づいて各ページ、ページセット、またはセッションごとに0(😀)から100(😡)までのスコアが割り当てられ、それぞれのランクを客観的に把握できます。
フラストレーションスコアを使用して、注意が必要な問題のあるページを特定したり、ユーザージャーニーにおける共通のフリクションポイントを見つけたりすることができます 。その後、関連するセッションリプレイで鍵を握る瞬間を観察し、何が起きたのかを正確に確認することで、ユーザーの立場に立ってユーザーのペインポイントをより深く理解し、その解決方法を見い出すことができます。
💡 プロのヒント:Contentsquareのダッシュボードにフラストレーションスコアのウィジェットを追加し、全体的なフラストレーションスコアを常に把握しながらその推移を継続的にモニタリングします。
![[Visual] frustration-score-widget](http://images.ctfassets.net/gwbpo1m641r7/69hjwxS5TvSo87QfIYGPAN/258fdb07d42f10726416df3c18b931a5/CSQ-frustration-score-widget.jpg?w=3840&q=100&fit=fill&fm=avif)
フラストレーションスコアのウィジェットをContentsquareのホームページまたはダッシュボードに追加してトラッキングデータを一目で確認
5. AIアラート:KPIを監視してすぐに対応
常に最新の状況を把握し、ビジネスゴールにアラインしていることが重要ですが、手動で指標を追跡すると、チームの作業が遅くなり、警告サインを見逃した場合、対応が遅れて大きな損失につながりかねません。
ContentsquareのAIアラートによって、重要なKPIをプロアクティブに監視して常に最新のトレンドを把握し、問題が深刻化する前に迅速に対応できます。
例えば、次のような重要な指標についてリアルタイムで通知するアラートを設定します。
コンバージョンの減少
エラーを経験したユーザー数の増加
直帰率の増加
デバイスまたはセグメント固有の行動
さらに、データポイントが予測から外れると、EメールまたはSlackで通知を受け取り、毎日使用するワークスペースに重要な更新情報が表示されるように設定することで、より迅速に対応できます。
これは、複数のチームがAIを活用する最適な方法のひとつであり、組織全体の透明性、コミュニケーション、コラボレーションを促進します。部門横断的なチームメンバーと共有チャンネルを作成することで、ステークホルダー全員が常に状況を把握し、迅速に解決策をブレインストーミングしてリソースを素早く動員することが可能になります。

💡プロのヒント:データコネクトによって、Contentsquareの強化されたデータをデータリポジトリにエクスポートし、AIのパワーをさらに活用できます。統合されたデータに対してAIと機械学習のアルゴリズムを実行することで、強力な解約予測モデルを作成し、収益の損失を未然に防ぐことができます。
Wolverine WorldwideがContentsquareのAIツールを活用して直帰率の削減に成功した方法
世界有数のフットウェアおよびアパレルブランドを運営し、グローバルにマーケティングを展開しているWolverine Worldwideは、顧客に関するインサイトをさらに活用するためにContentsquareを採用しました。
同社はまず、自動アラートを設定してユーザーによるエラーページへのアクセスを追跡できるようにしました。ジャーニー分析を利用してこれらのページでのユーザー行動を調べたところ、エラーページにアクセスした顧客の40%がサイトを離脱していたことが分かりました。これは、ユーザーが直帰する前に再エンゲージメントを図る絶好の機会を意味しました。
Wolverine Worldwideチームは、エラーページが表示された後もサイトに滞在し続けたユーザーの行動を調査し、最もアクセス数の多いページの一部と組み合わせることでインサイトを得ました。そして、その調査結果を基にエラーページを再設計し、ブランドのメッセージをより反映させると同時に、ユーザーが求めている情報にアクセスしやすいようにリンクをいくつか追加しました。
その結果、離脱率が32%、直帰率が22%低下し、年間 1万ポンド以上の収益アップにつながると予測されます。
📖 このカスタマーストーリーの詳細についてはこちらをご覧ください 。
具体的に、どのようにインサイトを得て、それらから学んだことに基づいて変更を実施し、その影響を測定できるかを、突然、理解できました。