株式会社トライトは、「医療福祉を中心とするエッセンシャル産業が抱える課題の解決に挑み、誰もが幸せに暮らせる未来を創造する。」をパーパスに掲げ、医療・介護・保育分野を中心とする人材サービス及びデジタルソリューションの提供を通じて医療福祉従事者が働きやすい職場環境の構築を目指しています。
主軸の人材紹介事業においては、全国に営業拠点を構え、人手不足が深刻化する地方への展開に注力し、キャリアアドバイザーによるコンサルティングサービスを提供しています。
また、ICT推進による医療福祉現場の生産性向上のための取り組みも強化しています。
同社では、2025年よりContentsquareを導入し、LP、リニューアルしたWebサイトの継続的な改善に加え、セグメントを活かしたCRM活用も行っています。導入の経緯や成果など、キーパーソンに詳しくお話を聞きました。
お話をうかがった方
株式会社トライト
齊藤 寛樹氏 UXD本部 マーケティング部 集客第3課
志賀 智之氏 常務執行役員
板敷 久美子氏 UXD本部 UX推進部 サービスデザイン課 課長
佐元 志帆氏 UXD本部 UX推進部 メディアCRM課 リーダー
秋山 美穂氏 UXD本部 UXD企画室
※所属・役職は取材時(2025年11月)のものです
市場の変化に勝つための3本の矢
── まず、Contentsquare導入の背景と、当時の課題について教えてください。
志賀氏:私が着任した当時、まず驚いたのは広告予算規模の大きさでした。しかし同時に、市場環境は厳しさを増していました。競合の増加によりクリック単価(CPC)も獲得単価(CPA)も上昇し続ける一方でした。
外部要因であるクリック単価はコントロールできませんが、サイト内部のコンバージョン率は自分たちの施策で改善でき、獲得単価を抑えることができます。 そこで、利益確保のために「3本の矢」からなる改革を断行しました。
第一の矢は、広告の着地先であるLPと、コンバージョン率に直結する登録フォームのブラッシュアップです。登録フォームについては、業界全体の知見が集まって最適化されてはいましたが、まだ改善の余地はあると考え、一部ずつ変更して効果測定していくことになりました。
第二の矢は、CRMの強化です。 求人サイトの場合、広告でお客さまに登録いただいても、応募するのは一部です。応募に至らなかった多くのお客さまに対して、リマーケティングで再訪問いただくような施策が必要でした。
第三の矢はWebサイトの刷新です。保守性を高め、継続的な改善ができるようにリニューアルしました。
これらの施策効果の検証には、お客さまの行動を可視化できるツールが不可欠でした。そこで導入したのがContentsquareです。

── 組織体制も大きく変更されたそうですね。
はい。集客担当が、流入後のLPとコンバージョン率まで責任を持つ体制にしました。これまでは集客とサイト制作が分断されがちでしたが、LPが強いこのビジネスモデルにおいて、それは非効率です。
そして、DX、マーケティング、UX、開発の4部門を統合し、「UXD本部」を新設しました。
開発チームにLP専用の環境を用意してもらい、ディレクター、デザイナー、エンジニア、さらには広告代理店の担当者もその環境で改善にあたる体制を作りました。
サイトのリニューアルには時間がかかるので、LPは分離して先行して改善できるようにしたのです。
お客さまのLPでの動きについては、集客担当だけでなく、デザイナーや開発、ディレクターも、Contentsquareを使って検証するような体制になりました。
結果、短期間で多数のLPをリリースするというスピード感で改善ができました。
── Contentsquareをどのように展開していったのでしょうか。
まず、特にクリック単価が高騰していた領域の求人のLP改善とエントリーフォーム最適化(EFO)に取り組みました。
その結果コンバージョン率が右肩上がりに改善し、大幅な改善効果が得られました。
定例会議で、「コンバージョン率がこれだけ向上しました」と報告したところ、他チームでも真似したいということで、Contentsquareのアカウントを増やしていくことになりました。
インハウスで改善できた点はインパクトがあり、横展開しやすかったです。あとは、それぞれがContentsquareを使って自由にアイデアを試していけるようにしました。
いつでも、過去にさかのぼって検証できるContentsquareでお客さまの理解が深まる
── ツール導入時の苦労はありましたか?
50アカウントを導入した直後、「使い方がわからない」という問い合わせが殺到しました。しかし、販売代理店のサポートを受けながらチームごとに定例会を重ね、今では120名ほどが日常的に利用しています。
当社には、Contentsquareがマッチしていたと思います。Contentsquareは、GTM(Google タグマネージャー)にタグを一回設定すれば、クリック、スクロール、セッションリプレイ、エラー検知まで、すべて収集してくれる点が優れています。
Contentsquareは、気になった時に過去に遡って分析できる利便性とわかりやすさが相まって、「見える化の民主化」が進んだと感じています。
最初は数字への苦手意識を持っていたデザイナーも、マーケターから指標の見方を教わり、お客さまの行動を起点から終点まで可視化できるジャーニー分析や、実際の操作を再現できるセッションリプレイなど、多角的に分析できる手法があることを知りました。
毎日観察することで、デザイナーとしての観察力が鍛えられ筋トレになっている感覚がありますね。セッションリプレイは、お客さまが利用しているところを真横で観察しているようで、数値だけでは気づかない発見がたくさんあります。

「思い込み」を捨て、事実に基づくデザインへ
── デザイナー、CRMの視点では、それぞれどのような発見がありましたか?
デザイナーの視点からは、自分たちの思い込みとお客さまの実際の行動との違いに気付かされ、感覚的なデザインからUX観点に基づいたデザインへと改善することができました。
以前は「この方が使いやすいだろう」といった主観や思い込みがありましたが、Contentsquareを活用してお客さまの行動を観察することで、「なぜお客さまがこの行動を取ったのか」という根拠に基づいてデザインに取り組むようになりました。
また、CRM(顧客関係管理)の観点では、単により多くのお客さまを集めるのではなく、長期的な関係構築につながるよう、質の高い顧客資産を集めることを目指しています。 たとえばセッションリプレイで得た詳細なお客さまの行動情報に基づいて、ユーザーの行動や心理に合わせた打ち手を変えることができました。
その結果、数値だけのデータではわからなかったユーザー行動の裏にある心理を理解し、それを具体的な施策に活かせるようになりました。

── チーム間の連携はいかがですか?
定期的に施策検討会を実施し、全チームで結果やアイデアを共有しています。毎回テーマを決めてディスカッションするので、デザイナー、ディレクターなどそれぞれの観点から意見を出し合えるので、視野が広がります。
LP、CRM、サイトでのそれぞれの施策を知ることで、施策同士の連携も意識するようになりました。
施策の質や報告の精度も上がってきていて、部署横断で施策を展開することもあります。それぞれのチームの活用具合に刺激を受けて、化学反応のようにContentsquareの活用が深まっています。
AI活用と顧客資産化への未来
── ContentsquareのAIの活用や今後の期待について教えてください。
UX改善においては、施策立案の質を高めるために、テスト経験や過去実績に基づいた知見が不可欠です。
これまでは、その経験値の差が施策の精度に大きく影響していましたが、AIの登場によって、誰もが一定の水準で考察できる環境が整いつつあると感じています。
特にデザイナーは、これまでマーケティング部のような分析の専門的な視点を持つことが難しかったのですが、AIのサポートによって、セグメントの分け方やインパクトのある改善ポイントを導き出すことができるようになりました。
また、AIに壁打ちを行うことで、ミスリードを防ぎながら分析の方向性を客観的に確認できるようになった点も大きな進歩です。
期待としては、現在は自分たちで観察していますが、お客さまが迷っている箇所や改善インパクトの大きい箇所をAIが自動で発見・提案してくれるようになれば、PDCAの速度はさらに上がります。
また、テストは繰り返し作業が多いので、AIが自分の分身のようになって、テストを自動で行ってくれるようになるといいですね。
── 今後の展望についてお聞かせください。
最終的な目標は、お客さまへのサービス最大化です。転職はタイミングが重要ですが、その時が来るまでお客さまと緩やかにつながり続けたいですね。
「いざ転職」となった時に、一番に当社のことを思い出してもらえるよう、アプリやCRMを通じて、サービスの提供価値を高めて、関係性を維持していけるようにしています。
Contentsquareはそのためのお客さま理解のためのツールとして、今後も活用していきたいと考えています。




