デジタル体験(Digital eXperience)の改善を推進するリーダーたちのコミュニティとしてContentsquareが主催する「DX Club」。この度、8回目となる「DX Club Winter 2026」が開催されました。
本イベントでは、三井不動産株式会社様による「非ECサイトの悩みと突破口」と題したリアルなUI・UX改善プロジェクトの成功事例が語られたほか、プラットフォームに組み込まれたAIエンジン「Sense」の強化をはじめとするContentsquareの最新アップデートに焦点を当てた濃密な学びの場となりました。
本レポートでは、非ECサイトにおけるデータドリブンな改善プロセス、AIを活用した未来のUX分析手法、そして大盛況のネットワーキングまで、当日の様子を余すところなくお届けします。

プログラム
16:30- 開会のごあいさつ
16:35- 「どこから手をつけるべきか分からない」 非ECサイトの悩みと突破口——三井不動産が語るリアルストーリー
17:20- Contentsquare 最新アップデート
17:40- 懇親会
18:55- 閉会のごあいさつ
「どこから手をつけるべきか分からない」非ECサイトの悩みと突破口 三井不動産が語るリアルストーリー
今回お話いただいた東垣氏は、2021年より現職にて「三井のすまいLOOP」の運営やグループ全体の顧客データ活用プロジェクトを担当しています。
不動産取引は一生に一度、あるいは数年に一度という非常に頻度の低いビジネスにおいて「三井のすまいLOOP」をどのようにしてウェブサイトの改善をデータドリブンで進め、大きな成果を上げたのか。そのリアルな軌跡をお話しいただきました。
1. プロジェクトの背景:定量データだけでは見えなかった「なぜ」
「三井のすまいLOOP」は2012年に創設され、2026年1月時点で会員数40万人を突破。プロジェクトチームの目標は、会員登録や各種サービスの申し込みを起点として、最終的に再び三井不動産グループを選んでいただく「再取引」にあります。
そのためのKPIとして、ブランド認知のための「入会数」や、接点の質を測る「サービス利用数・イベント参加数」を計測しています。
しかし、プロジェクト開始前は、以下のような課題に直面していました。
専門部署からの定常的な支援が困難: 不動産開発の経験しかなかった東垣氏自身がマーケティングを学ぶ必要があった。
「どこで」の次は「なぜ」が分からなかった: 従来の定量分析ツール(Adobe Analyticsなど)では、ユーザーが離脱した場所(どこで)は特定できても、「なぜ」離脱したのかという原因までは突き止められず、明確な根拠のない主観的な施策が続いていました。

2. 突破口:Contentsquareによる「ユーザー行動の解像度」向上
この課題を打破するため導入されたのがContentsquareです。導入の決め手となったのは、専門知識がなくても直感的に扱える操作性と、ユーザーの行動を「ビジュアル」で理解できる機能群でした。
特に、以下の機能が、社内での意思決定を後押しする強力な武器となりました。
カスタマージャーニー: ページ遷移を可視化し、ユーザーの動きを把握。
ファネル分析: 申し込みなどのプロセスにおける歩留まりを把握。
ゾーニング分析: クリック率を要素ごとに分析し、ページ内の「魅力度」を数値化。
これにより、「全体のトレンド把握(Adobe Analytics)」と「具体的な課題の深掘り・改善の答え合わせ(Contentsquare)」という明確な役割分担が定着しました。

3. 具体的な改善事例:地道な改修が大きな成果に
Contentsquareの「セッションリプレイ」を活用し、ユーザーの実際の動きを詳細に分析することで、以下のような具体的な課題が浮き彫りになり、改善策に繋がりました。
3-1. 【事例1】入会導線の改修
浮き彫りになった課題 | 実施された改善策 | 成果 |
冒頭の会員規約が長大で離脱が発生 | 規約ページを導線の後半に移行し、同意チェックのみに簡略化 | 入会申請ページへの遷移率が47%から64%へ大幅向上 |
フォーム入力でのエラー頻発(属性選択の分かりづらさ、メールアドレスのオートコンプリート誤入力) | 属性選択に応じた入力項目の動的表示、メールアドレス入力欄の統合 | ユーザーの入力ストレスを示す「入力時間」が劇的に短縮 |
3-2. 【事例2】ハウスクリーニング申し込み導線の改善
「ゾーニング分析」の結果、ページ下部に埋もれていたサービスの方が上部のものより「魅力度」が高いという、主観とは逆の結果を元に、メニュー配置を改善。
「セッションリプレイ」で、複数箇所を一括依頼したいユーザーが戸惑っている状況を確認し、複数メニューの同時選択を可能に。
厳格な形式(西暦からの8桁数字)による入力エラーが乱発していた希望日時の入力に、カレンダー形式を導入。
こうした細かい改修の積み重ねが、最終的なコンバージョン(申し込み完了)の向上に貢献しました。
4. プロジェクトの総括と次の展望
東垣氏は、Contentsquareの導入によりユーザー行動の解像度が劇的に上がり、「確信を持って施策を提案できるようになった」ことで、社内の意思決定スピードが上がったことを最大の成果として挙げました。
今後は、分析の対象を「三井でみつけて」や「三井のリフォーム」といった他のグループサイトへ広げるとともに、各サイトの担当者が自らContentsquareを使いこなし、能動的に課題を発見できる「自走できる体制」を構築することを次の目標としています。
データドリブンな改善プロセスと、それを支えるツールの活用法は、非ECサイトのDXを推進する多くのリーダーにとって、非常に示唆に富むリアルな成功事例となりました。

Contentsquare 最新アップデート
最後のセッションでは、Contentsquare Japan シニア・ソリューションコンサルタントの沖本篤史より、最新機能の紹介がありました。
Contentsquare AI分析機能「Sense」による分析の進化
「Sense」には、以下のような革新的な機能が備わっています。
Senseチャット ChatGPTのような対話形式でAIに分析を依頼できる機能です。例えば、カスタマージャーニーにおいて「コンバージョンした人としない人を比較して」や「どこに課題があるか教えて」と入力するだけで、AIが膨大なデータを読み解き、日本語で具体的な改善ポイントを提案してくれます。これにより、専門知識がない担当者でも、根拠に基づいた分析が可能になります。
Senseサマリー 個々のユーザーの動きを確認する「セッションリプレイ」は非常に有用ですが、多くの動画を見るには膨大な時間がかかります。この機能は、10人、50人といった複数のユーザー行動をAIが瞬時に要約し、共通するエラーや離脱要因を抽出します。ユーザーが困っているシーンにピンポイントでジャンプできるため、分析効率が飛躍的に向上します。見つかった課題を改修した場合、売上やコンバージョンがどの程度向上するかを試算する「インパクト分析」の結果を、AIが説得力のあるテキストにまとめます。このテキストを社内報告や他部署への説明資料として活用することで、合意形成をスムーズにします。
ロードマップ:エージェント型AIへの進化
今後の展望として、AIが複数のページを跨いだユーザー体験全体を分析し、サイト全体の改善案を総合的に提案する機能が、2026年3月頃にリリースされる予定です。 将来的には、AIが自律的に課題を見つけ出し、毎週定期的に改善レポートをメールで届ける「エージェント型」の自動化を目指しています。
Contentsquareは、使いやすいUIと強力なAI機能を組み合わせることで、顧客体験の分析をより効率的かつスピーディーにし、企業のDX推進を強力にバックアップすることを目指しています。

ネットワーキングタイム
ドリンクとフードを囲みながら、参加者の皆さまは熱い議論や交流を楽しまれている様子でした。業界や業種を超えて、DX推進という共通のテーマを持つ仲間と交流することで、多角的な視点や新たな気づきが得られたのではないでしょうか。
後日寄せられたアンケートでは、「導入されている企業様のより具体的な話が聞けた。またネットワーキングにより導入経緯などの話も聞けた」など、交流の価値を評価するコメントを多数いただきました。
ご参加いただいた皆さま、そして貴重な事例をご共有いただいた三井不動産株式会社の東垣氏に、心より感謝申し上げます。DX Clubは、今後も継続的に企画し、皆さまの実践的な学びと交流の場を提供してまいります。
Contentsquareは、2012年にパリで設立したデジタル体験分析プラットフォームのリーダー企業です。 私たちは、あらゆるタッチポイントにおける顧客体験を包括的に理解できるソリューションを提供しています。 当社のプラットフォームは、企業がユーザーのウェブサイトやモバイルアプリでの行動を把握し、理解することを支援するために設計されています。分析手法に興味がある場合は、ぜひデモをご予約ください。


